第16話

直談判
50
2022/03/27 12:43 更新
その頃の文藝春秋社
菊池寛
はぁ……またか
芥川龍之介
どうかしたかい?
菊池寛
ん…あー…ほらこれだよ
菊池はふっくらした封筒を芥川に渡した。
芥川龍之介
なんだ…これは?お金かい?
菊池寛
……中身を見て見ろ…
芥川龍之介
うわっ…手紙…?随分と長いけど(よくこの封筒に入ったなぁ…)…誰から?差出人が書いていないよ?
菊池寛
そうか…お前は知らないのか…
芥川龍之介
?知らないって?
菊池寛
生前…お前がいなくなった後、僕が芥川賞と直木賞を作った…て言う所までは知っているよな?
芥川龍之介
まぁ、寛から聞いたからね。それで?
菊池寛
太宰治って言う作家が芥川賞候補に選ばれたんだが…落選してな。それで選考委員に芥川賞をくれって手紙を出したんだが、今度は候補にすら選ばれず……
芥川龍之介
そんなに賞が欲しかったんだね。
菊池寛
まぁな。お前の事(小説)を好き…いや神のように信仰しているような節があったやつだからな
芥川龍之介
へぇ…でその太宰君だったっけ?この封筒の差出人は彼って事?
菊池寛
そーだ。今も、芥川賞はこの世界にあるからこう毎日毎日届くんだ。…ちょっとどうすればいいかわからな
扉が勢いよく開き、其処には20歳位の青年が立っていた。
???
菊池先生!!!なぜ返事を返して下さらないのですか…!私はこんなにもお願いしているのに…!
菊池寛
太宰…!
太宰治
悲しいです…私などの者は芥川賞に相応しくないどころか、返事をするにも足らない人間だと思いなのですね…
菊池寛
はぁ…毎日毎日こう送られてきても、返事に困るんだよ…書かないんじゃなくて、書けないんだよ
太宰治
なら、毎日こう押しかけた方が良いという事ですか…!?
菊池寛
あのなぁ…
芥川龍之介
あのー…
太宰治
あっ…すみませんでした!お客人がいたのにも関わらず私のような者がズカズカと…ん?
太宰治
………あの…まさかとは思いますが…芥川…龍之介先生でございますか?
芥川龍之介
あーうんそうだね。

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