深澤「涙止まりそうにないねぇ」
深澤「今日の午後の授業ここで休んでた方がいいんじゃ
ない?体調不良で保健室いることにしとくし」
「、、嫌だ」
深澤「な〜んでよぉ、泣きながら授業受ける訳にもいか
ないでしょ〜?」
「だって岩本先生の授業あるし、、」
深澤「今おじょーさんがひかるの顔みたらもっと辛くな
るでしょーが」
そう言ってふっかは私のおでこにデコピンした。
深澤「とりあえず午後は休みなさい」
深澤「またホームルーム前に呼びに来るから、それまで
気持ちの整理してのんびりしときな」
そう言って私の頭をポンポンと叩いて
深澤「んじゃ、いってきま〜す」
と呑気に教室を出ていった。
普通の先生なら絶対こんなことしてくれない。
恋の悩みごときでこんなこと普通は出来ない。
そう感じてふっかへの感謝を改めて噛み締めながら
午後の時間を国語準備室で過ごした。
いつの間にかソファーで寝落ちしていた私を
ドアをノックする音が起こした。
ガラガラとドアが開いて
深澤「おじょーさん〜?どお?」
深澤「ホームルーム出れそう?」
そう言いながらふっかが教室の中に入ってきた。
「うん。もう元気」
深澤「さっきよりは落ち着いたみたいだね、よかった」
深澤「まだ元気そうではないけどね」
ふっかにはなんでもお見通しみたいだ。
正直心は全然元気じゃない。
だけど無理してでもにこにこしていないと
また涙が溢れてきてしまうから。
深澤「てか今日ダンス同好会部活あるんだっけ?」
「ううん、今日は運良く休み」
深澤「よかったよかった」
深澤「岩咲、今日は家でゆっくり休みなさいよ?」
「うんわかってるよ」
その日はホームルームに出席していつもよりはやめに家に戻った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。