生徒会の面々は会議が終わったようだった。
神楽桜優は、望月結花から送られてきたカラオケの写真に「楽しそうじゃん、いいなー」と返信して携帯をカバンにしまった。
そして、このメンツで唯一の1年生である冬城彩乃に向き直った。
猪澤柊人はそっと「なにか」を言いかけた神楽桜優の口をふさいだ。
そっと、と表現していい勢いではなかったが。
少しだけ沈黙が流れた。
猪澤柊人は「やってしまった...」と言った顔を浮かべていた。
生徒会の面々は順々に去って行った。
外を見ると真っ暗で、時計の針は8時を過ぎていた。
自分らですべてを決め切り、明日全校生徒に「すべて」をつたえるみな。
困っているだろうし迷っているだろう。
だけど、「生徒会」としてそんな不安や不満は世に出さない。
その姿は評価に値するだろう。
もしこの中に「嘘つき狼がいたら」だなんて想像するだけでも恐ろしい。
若井ツルギ、彼はそんな言葉を口にした。
たしかに冬城彩乃の家は広かった。
しかし、財閥の当主の娘や超有名グループの会長の娘などと知り合いな彼からしたら、わざわざ口に出すほどの大きさではないように思えた。
あっさりと冬城彩乃が口にした言葉に若井ツルギは大層驚いているようだった。
数秒沈黙を続けたのち、簡素な謝罪の言葉を口にした。
家の扉をあけて中に入っていった冬城彩乃。
彼女を視線で追っていた若いツルギの目には明らかに焦燥感と苛立ちが共存していた。


















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!