第13話

episode8 #終わった会議
48
2026/02/01 00:00 更新
生徒会の面々は会議が終わったようだった。
神楽桜優は、望月結花から送られてきたカラオケの写真に「楽しそうじゃん、いいなー」と返信して携帯をカバンにしまった。
そして、このメンツで唯一の1年生である冬城彩乃ふゆしろあやのに向き直った。
神楽桜優
神楽桜優
ちょっと時間かかっちゃったね...彩乃ちゃんは1年生だし、送っていくよ。
冬城彩乃
いえ、お気遣いなく...
青柳玲央
青柳玲央
年齢関係なく、こんな時間に女子が1人で帰るのがダメだろ。
青柳玲央
青柳玲央
最悪の場合、犯罪行為に巻き込まれる。
若井劍
若井劍
じゃあ、俺と帰ろう。彩乃。
冬城彩乃
いえ、申し訳ないので...。
若井劍
若井劍
これでお前がなんらかの被害にあった方が、俺は嫌だ。
若井劍
若井劍
涼も一緒に来るから、変なことは心配しなくたっていい。
冬城彩乃
...そこまで言ってくださるなら、お願いします。
青柳玲央
青柳玲央
ななは俺と昂輝で送ることにする。
松山昂輝
あぁ、桜優は柊人と二人っきりだっていいだろ?
末森なな
末森なな
ちょ、ちょーーっと待って?
末森なな
末森なな
桜優ちゃんも2人くらいで送った方が良くない...?柊人くんを悪く言いたいわけじゃないけどさ...!!
青柳玲央
青柳玲央
あぁ...別に、ここ2人は交際してるからどうにかなるだろ。
末森なな
末森なな
えっっ!?!?
猪澤柊人
猪澤柊人
玲央さん、ただの誤解です...
神楽桜優
神楽桜優
同棲してるだk...
猪澤柊人
猪澤柊人
桜優...!
猪澤柊人はそっと「なにか」を言いかけた神楽桜優の口をふさいだ。
そっと、と表現していい勢いではなかったが。
冬城彩乃
...同棲......?
少しだけ沈黙が流れた。
猪澤柊人は「やってしまった...」と言った顔を浮かべていた。
松山昂輝
同棲って言ってもあれだろ?あの...健全な奴。
青柳玲央
青柳玲央
不健全な同棲もないだろ。
青柳玲央
青柳玲央
...まぁ、話をややこしくしたのは俺だから弁明しておくと、どちらかというと「ルームシェア」って感じだ。二人っきりな訳でもない。
末森なな
末森なな
あ、なるほどね...!?
神楽桜優
神楽桜優
柊人、モ〇バーガー寄ろう。茉莉たちもおなかすいてるだろうし。
猪澤柊人
猪澤柊人
お前なぁ...。...まぁいいか、じゃあ行くぞ。
猪澤柊人
猪澤柊人
みんなもまた明日。
松山昂輝
明日~~!
青柳玲央
青柳玲央
また明日。
冬城彩乃
さよなら!
若井劍
若井劍
じゃ、帰ろう。彩乃。
生徒会の面々は順々に去って行った。
外を見ると真っ暗で、時計の針は8時を過ぎていた。
自分らですべてを決め切り、明日全校生徒に「すべて」をつたえるみな。
困っているだろうし迷っているだろう。
だけど、「生徒会」としてそんな不安や不満は世に出さない。
その姿は評価に値するだろう。

もしこの中に「嘘つき狼がいたら」だなんて想像するだけでも恐ろしい。




若井劍
若井劍
彩乃、おまえんち広くね...?
若井ツルギ、彼はそんな言葉を口にした。
たしかに冬城彩乃の家は広かった。
しかし、財閥の当主の娘や超有名グループの会長の娘などと知り合いな彼からしたら、わざわざ口に出すほどの大きさではないように思えた。
冬城彩乃
そんなに大きいわけではないですよ...?
若井劍
若井劍
いや...前、一人暮らしだって言ってなかったか?てっきり、アパートだと...
冬城彩乃
あぁ...一人暮らしと言っても、上京したわけじゃなくて親が死んだから一人になっただけです。
あっさりと冬城彩乃が口にした言葉に若井ツルギは大層驚いているようだった。
数秒沈黙を続けたのち、簡素な謝罪の言葉を口にした。
若井劍
若井劍
...悪い。
冬城彩乃
気にしないでください。...ツルギ先輩と涼先輩はどうだったんですか?
黒園涼
黒園涼
家族の話?
冬城彩乃
はい。
黒園涼
黒園涼
さぁ...物心つく前に養護施設に預けられたからな。
若井劍
若井劍
最後の思いでは「あんたはあのくそ男の血を引いてるのよ。アンタなんか産むんじゃなかった。」って言われたことだった。
冬城彩乃
...すみません。
若井劍
若井劍
別に...俺は今幸せだし、気なんて使わなくていい。
冬城彩乃
幸せ...ですか。
若井劍
若井劍
あぁ。じゃあ、また明日。
冬城彩乃
...はい、また。



家の扉をあけて中に入っていった冬城彩乃。
彼女を視線で追っていた若いツルギの目には明らかに焦燥感と苛立ちが共存していた。

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