第26話

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2025/05/11 22:23 更新


「 ……え、買い出し……? 」



メイド服のスカートをそっと直しながら、

あなたは首を傾げた。



「 いやだってさ、こっからお店まで

  ちょっと遠いし、独りで持って帰るの

  キツいじゃん? で、山ちゃんもはるちゃんも

  裏で準備詰まってるし( 


「 じゃあ、俺が行きますよ 」



言葉を遮るように、奥の机で

座っていた千早が立ち上がった。



「 えっ、千早? お前別のクラスだろ? 」



清峰が目を丸くする。



「 そうですね。でも、心配です。

  女の子一人じゃ、何かあっても

  言わなそうだし 」



「 お、女の子って……私……? 」



唐突な名指しに、

思わずあなたは目を見開いた。



千早は無表情のまま、軽く首をすくめる。



「 別に深い意味はありません。

  荷物持ちってだけです 」



そう言いながら、足早にドアの方へ向かう千早。



あなたも、戸惑いながらその後ろを追った。



──



「 ……なんか、変な空気だったね 」



「 ん? 」



並んで歩きながら、ふと

あなたが口を開くと、


千早はポケットに手を

突っ込んだまま、空を見上げた。



「 別にいいでしょ。俺は行きたくて来た 」



「 ……ふふ、ありがとう 」



「 ……! 」



ふいにこぼれた笑みに、

千早の足が一瞬止まった。



「 ……やっぱ、笑った方がいい 」



「 え? 」



「 お前、最近よく笑うようになった 」



「 そんなこと…… 」



「 嬉しいんだよ。……俺が 」



その声は、

風にかき消されそうなほど、静かだった。



あなたは何も言えなくて、

ただ、ほんの少しだけうつむいた。



その時、スーパーの袋を手渡そうとした拍子に、


二人の指先がふれて──



「 っ……! 」



互いに反応して、手を引っ込めた。



( ……なんだろう、

  こんな些細なことなのに )



心臓が、いつもより

ずっと速くなってる気がした。



「 あなたは 」



唐突に、千早が口を開いた。



「 ほんとは、誰にも触れて

  ほしくないとか、思ってる? 」



「 ……え? 」



「 なんか、そういう目してるときあるから。

  ……昔の俺がそうだったから、わかる 」



あなたは答えられなかった。



けど、千早は何も言わず、

そっと買い物袋を持ってくれた。



そして、小さく笑った。



「 でも、俺には……

  ちょっとだけ、許してくださいね 」



その言葉に、

あなたは思わず目を見開いて──



( ……ずるいよ、千早くん )



どんどん、心が引き寄せられていく。



──続く。

ゆら
ゆら
ああ、あと6話ぐらいで
終わってしまう……

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