その後、数名が挙手をしすぐにジュリエットのオーディションは終了した。
テント裏、数名の役者が雑談を繰り広げる
音もなくこの場に存在し、
急に話に混ざってきたのはステラ・ユハン
またもや、看板陣営が増えた
2人のやり取りに
下っ端役者はそろりと聞き耳を立てる
シャレゼネフは手を上げ、ふらふらと頭を振る。
ユハンもやれやれと首を振り、
もう何度目かにもなるこの金欠発言を終わらせる
その日、夜蘭のジュリエット座談は
陽が落ちても続いていた
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団員荘、『優劇』の扉が叩かれる
歯磨きをすぐに終わらせ、
夕飯で離れているみんなに変わり客人の対応をと
玄関に歩む
扉越しに聞こえるのは、
どこか聞き覚えのあるような澄んだ声
返事をしても、何か外でもみ合って居るようで
なかなか玄関に入ってこない客人に痺れを切らし、
夜蘭から扉を開く
・・・、誰もいない
団長はふうん、と苦笑いする
なんだ?俺の顔にゴミでもついてたか?
その後思い出したように話題振られる
本当は1人で外に食べに行くことなどしたくなかったが、団長が俺を追い出したがっている節を感じ取り、足早に出ていく
ウイト・シャレゼネフはせかせかと外に駆け出す夜蘭を見送り、暫く待ってから何者かに話しかけた
それに反応したかのように、
ガサっ
と茂みがゆれる
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。