you side
寒い。
さすがに寒すぎる。
いや、ちょっと待てよ。
昨日まで、
“春来たね〜”とか言ってなかった?
“もう薄着で余裕〜”
とか言ってなかった?
なのに今日。
真冬。
超寒い。
詐欺。
もう朝で、起きないといけないって言うのに…
布団の中で丸くなったまま全然動けない。
手足どっちも冷たい。
布団の端から忍び寄る冷気。
完全に敵。
小さく呟いた瞬間、
隣がガサゴソと布団の中で動く。
私は顔まで布団を被ってる元貴を見て、
元貴の足に私の足をピタッとくっつける。
そう言いながらも逃げない。
むしろ、元貴の方からくっついてくる。
ぎゅって抱きついてくる。
元貴の腕が自然に背中に回る。
悔しいけど、めちゃくちゃ温かい。
元貴は私の首元に顔を埋める。
寝起きでちょっと髪もボサボサ。
なんか、可愛いの腹立つ。
そう言いながら、
元貴が私の手を探して握る。
元貴が少し黙り込んでから、
ニヤって笑って口を開く。
朝からド直球すぎだろ。
自分でも顔が赤くなるのがわかる。
顔を布団に埋めて顔を隠す。
多分、顔から耳まで全てが赤い。
元貴が “ふぅん” って言いながら
くすくすっと笑う。
それからちょっと真面目な声音で言う。
そう言いながら再びぎゅっと、
少し強く抱きしめられる。
やっぱり温かくて、
安心する。
超都合いい言い草。
自分でもわかるぐらい手足冷たいけど。
私の首元に顔を埋めて、
眠たそうな声でそう言う。
元貴は更に抱きしめる力を強める。
布団の中はぬくぬくしてて、
だんだん温かくなってきた。
でも、外はきっと寒い。
あれから、だいぶ時間が経って
遅刻しそうな時間。
“まぁいっか”
って心の中で呟く。
春に裏切られた朝。
遅刻しそうな朝。
それでも、
元貴から離れたくないって思う自分がいた。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。