神威がいなくなってから数年が経った 。 そして烙陽の雨はさらに冷たくなった気がした 。
隣で眠る神楽の寝顔を見るたび 、 胸が締め付けられる 。
あの日 、 神威が残していった絶望をこの小さな肩に背負わせるわけにはいかない 。
私は荷物をまとめ 、 そっと家を出た 。
神威を連れ戻すためか 、 それとも彼を殺すためか 。 自分でも分からない 。
けれど 、 神威を追わなければ 、 私は一生この雨の中で朽ちていく 。
背後から響いたのは 、 聞き慣れた 、 けれど泣き出しそうな声だった 。
振り返ると 、 パジャマ姿の神楽が泥だらけの足で立っていた 。
神楽が私の腰にしがみつき 、 激しく首を振る 。
その熱い涙が 、 私の服に染み込んでいく 。
私は震える手で神楽の頭を撫で 、 無理やり笑顔を作った
私は神楽の肩を掴み 、 真っ直ぐにその瞳を見つめた 。
小指を絡め、無理やり指切りを交わす 。
神楽の手を振り切り 、 私は一度も振り返らずに宇宙船が待つ港へと走った 。
後ろで神楽が「あなたの下の名前ーーー!!」と叫ぶ声が聞こえる 。
胸が張り裂けそうだった 。 けれど 、 これでいい 。
あの子はいつか 、 自力でこの星を出て、侍たちのいる「地球」という光を見つけるはずだ 。
私は 、 神威という「闇」を追って独り銀河へと身を投じた 。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!