第3話

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2020/02/20 13:06 更新
スマホでニュースを読んだり、株価をみたり、おすすめの新しく発売されたボードゲームを見ているうちに気づけば12時半になっていた。

そう言えばそろそろ二郎が帰ってくる時間だなと思ったとき玄関でドアが開く音がした。

タイミングよすぎだろと思っていると、お邪魔しますと声が聞こえた。

女……?

僕がリビングに二郎が入ってくるのを待っていると、ちょうど二郎と目が合った。

「お、ただいま、三郎」

「おかえり……」

そういったとき後ろから髪の長い女が顔を覗かせる。

「あ、この子が言ってた三郎くん?」

「あぁ、そう。三郎、この…」

僕はそこまで聞いて嫌な予感がした。

もしかして二郎とそういう関係だと紹介されるのではないだろうか。

僕はとっさに二郎の言葉にかぶさるようにして

「あっ、僕、部屋に戻るのでごゆっくり」

と言い放ち、部屋に逃げるようにして帰った。

ドアを閉め鍵をかける。

もし、もしあの場で二郎の口から彼女だと紹介されたら、僕は絶対に取り乱していた。

泣いたかもしれないし、怒ったかもしれない。

そんな子供っぽい反応を二郎に見られるのは嫌だった。

しばらく経って僕が布団に寝転がり、さっきのことを考えているとドアがノックされた。

「三郎?さっきどした?」

「…お前には関係ない。」

「…まあ、三郎が話したくないってんなら無理して聞きはしねぇけど…なんかあったら言えよ?」

「うるさい、わかってるよ」

「…ったく、なんでそういう言い方しかできねえんだお前は。
 …で、兄ちゃんどこ行ったかわかる?」

「あぁ、一兄は今朝急用が入ったようで…でも今日中には帰ってくるって」

「そうか。ありがとな」

ドアの前から二郎が去った気配がする。

彼女なんか連れてきて…今のお前に一兄のこと聞く余裕なんかあるのかよ。

彼女がいるなら、僕たち家族のことなんか気にしてないで、彼女と戯れてろよ。

頭の中で色々な考えがぐるぐるとまわる。

二郎に彼女ができたら、二郎が遠くへ行ってしまう。

僕たち兄弟のことを1番に考えてくれなくなる。

それがなんだか悲しくて、また目から涙がこぼれ落ちる。

僕がまだ保育園のころ、小学校に入った二郎はサッカーにはまった。

前のように僕が1人でいるときは近くにいてくれたが、それ以外の時はずっとサッカーをしていた。

僕が小学生になってもそれは変わらず、コートの上で楽しそうにサッカーをしている二郎をみると僕のことだけを大切にしてくれる二郎じゃなくなったんだと悲しんだものだ。

その時の感覚に似ている。

一兄がいるからいいとかそういう問題じゃない。

僕は、やっぱり二郎に1番そばにいてもらいたい。

「じろぉ…」

目から涙が止まらない。

寂しい。

そばにいて欲しい。

「じろにい…」

昔の呼び方で呼んでみる。

どこか心が温かくなるような、虚しくなるような感覚になる。

「…三郎?どうした?」

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