第433話

第403話 愛の形の完成 ~KR~
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2022/01/26 14:13
サッカー選手になりたくて、毎日ボールを蹴っていたあの日々を....投げ出したのだ
運命と言っても良い、もしあの時知らなければ俺はサッカー選手を今でも目指していた

はーいこんちゃーす

たったそれだけの挨拶で釘付けになった
鼻にかかる声、でも聞いてて心地好いその声
彼女に知ってから俺の日常は変わった
歳も対して変わらないのに、彼女には惹き付ける何かがあった
見ている人を楽しませる技量があった
彼女に会いたい、彼女に近づきたい
その想いが募りに募って、決めたのだ
サッカー選手になる夢も捨てた、一度決めたら一直線
俺も彼女と同じ立場になって、.....彼女に会いに行くのだ
絶対に、会ってみせる.....会いたい
彼女の隣に立っていたい......





キヨ「レトさん俺と付き合ってください」
レトルト「嫌です、付き合いません...」
キヨ「...........またフラれた!!!」
レトルト「こんな公衆の面前で膝をつくなや....」
漏れるため息、見下ろすレトルトの視線の先には地面に膝つき落ち込んでいるキヨがいた
キヨ「これで俺何回フラれたんだろ....」
レトルト「せやね、ざっと100回は軽く越えとる...」
キヨ「だがしかーし!!!俺は諦めない!!!」
レトルト「頼むから諦めて欲しい....」
ぐわっ、とキヨは立ち上がって意気込む
それを見たレトルトはやれやれ、と諦めモードへと差し掛かった
何度目かの二人きりのお出掛けと称したデート
それで帰り際に告白をするというテンプレと化し、今日も今日とて愛する実況者レトルトに告白をしたが、見事玉砕......
キヨはさほどダメージを喰らってはいないが、落ち込みはしている
好きな人にフラれているのだ、落ち込まずしていられない
けど諦めきれない....だから告白をし続ける
告白し続け.....はや五年ちょい経つがね....
レトルト「満足した?」
キヨ「しない.....はぁ、レトさんは何で俺の告白を断るの?嫌いなの??」
レトルト「嫌いではないけど、そんな風に見たこと........ないからなぁ...」
キヨ「う、..........」
男の人にほぼ壁システムを発動させるレトルト
その壁を何年もかけて壊し、やっと隣に立ててきたというのに....根本的な問題だ
恋愛対象ではない、トホホ.....
レトルト「......飽きひんのな...」
キヨ「ん?」
レトルトが目を細め、小さく聞いてきた
初めてだ、そんな風に声をかけられるのは
レトルト「フラれるってわかっとーのに、何で私に告白をし続けるん?フラれるんやよ??おかしいやん、普通...諦めるやんか.....どうして、?趣味、悪いよお前は......」
さらさらさら、と伝えるレトルトの声は段々と悲しそうであった
思わぬ言葉が連ねられ、キヨは驚いていたが....当たり前のように笑顔を見せた
キヨ「そりゃ決まってんじゃん、俺...レトさんのことチョー好きだから!!!」
レトルト「ーっ、.......」
キヨ「だから俺は諦めないよ?絶対に、告白し続ける、...レトさんにオッケーされるまで、ずっとね.....」
レトルト「........隣に居続けること決定なんやねそれ...」
呆れた、と視線で訴えられたけどキヨは真っ直ぐで堂々としている
キヨ「当然、レトさんの隣には俺がいて当たり前でしょ?待ち合わせ場所は、レトさんの隣なんだから....レトさんがいてくれたから、今の俺があるんだ」
キヨの眩しい笑顔に、レトルトは見入る
そして、はぁ....と息を吐いてからつけていたマスクを外す
キヨ「レトさん?」
いくら仲良くなったからって、どんなときでもマスクを外さなかったレトルト
見たことはあっても、機会は少ない
しかもこんなまだ人がいる場所で、マスクを外すなんて一体どんな意味があるのだろうか
レトルト「負けたわ...」
キヨ「え.......?」
レトルト「負けたって、言っとる...キヨくんの勝ち....しゃーないやんそんなこと言われたらさ......///」
キヨ「レト、さん....?」
レトルトはお返しにとばかりに、キヨに笑顔を見せた
その笑顔にドキッ、と胸を高鳴らせ...キヨは見惚れる
レトルト「えぇよ、...付き合っても....」
キヨ「.........えっ、!?」
唐突な返事に驚きを隠せず、口元を手で覆う
レトルト「何やの、....ずっと待ってたんちゃうん?オーケーされるの....///」
キヨ「待ってたけど、待ってたけど急すぎない!!!???」
全然心の準備が出来てないんだけど!!??
レトルト「うるさいなぁ、気が変わったの...別に、お前と一緒にいるのも悪くないし......私も、好きやから...キヨくんのこと......///」
キヨ「え、レトさん今なんて」
レトルト「知らなーい、私は何も言ってませーん....」
キヨ「嘘つけ!!!言ったね!?今俺のこと好きって言ったね?!ちょ、待ってよレトさん!!!もっかい言って!!!もっかいデレて!!!レトさーん!!!!」
言うだけ言って歩いていくレトルトを必死に追いかけるキヨ
行かせてたまるか、俺は追いかけない
俺は隣にいるんだ、キヨは余裕でレトルトに追い付き、隣を歩く
キヨ「わ、レトさん顔真っ赤じゃん...かーわいい!!」
レトルト「うっさいわアホ.....見んな!!///」
キヨ「レトさんの可愛い顔もっと見せてよ~~ねーぇ~~~」
レトルト「うざいっての!!!///」
これからも、ずっと彼女の隣を歩いていくんだ......






陽斗『やったかなぁ、.....父さんたちの馴れ初め、あんま覚えてへんけど』
りょうや「レトさんツンデレさんだね...」
そこが可愛いと言うのだろう、キヨさんは...
陽斗『そやろ?でも父さんのことはちゃんと好きやから、ただ素直になれへんだけで』
りょうや「そっか、でも...分かるよ、レトさんの気持ちも」 
いず『これまた違ったハッピーエンドだわ......素敵...』
いずはもう既に泣きそうである...
りょうやも目頭熱くさせていた
りょうや「あー......下手な恋愛ドラマ見るより感動してるわ俺」
いず「同じく...」
陽斗『そりゃ良かったわ、ちなみにプロポーズは生放送でいきなりやけどね』
りょうや「さすがキヨさん...」
陽斗『あーいう大人にはなりたないかもしれない.....策略家というか、変なところで頭使う人....』
呆れる陽斗の声を聞いて、りょうやといずは顔を見合わせて苦笑していたのだった


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