侑 side
男子:お,侑やん。誰かと待ち合わせか?
侑:おん。人待ってんねん
男子:何時に来んの?来るまで一緒に回るか?
侑:いや平気や。ありがとなぁ
- 8月4日 花火大会
俺は部活を終えて公園に来ていた
周りは花火大会へ行く人達で賑わっとった
侑:………仕事,終わらんかな………
- 時刻は19時を過ぎとった
あなたから連絡は無い
終わったら連絡する言うてたから
まだ仕事が終わらんのかもしれん
今終わって向かったとしても
確実に花火の時間は過ぎてまう
せやけど____何故か帰ろうとは思わんかった
侑:………はぁ………
- 正直来てくれるとは思わんかった
去年も一昨年も一緒に過ごした花火大会
そして丁度いいタイミングで京都で撮影
俺はどうしても____あなたと過ごしたかった
侑:………もう無理か
- 時刻はもう少しで20時になろうとしとった
未だにあなたから連絡はない
仕事が終わらんかったのか
それともやっぱり俺に会いとぉなかったのか
どちらにせよ____こうなったのは俺のせいや
あなた:宮くん!!!!
侑:………え………?
- 丁度20時になった時
目の前に黒い車が止まった
その中から出てきたのは
浴衣に身を纏った____あなたやった
あなた:遅くなってごめんなさい……!
侑:え?あ,いや………
あなた:…………?
- 仕事が終わったっちゅー連絡も無かったから
正直来てくれるとは思っとらんくて
あなたの急な登場に驚きが隠せんかった
あなた:携帯充電切れちゃって連絡出来なかったの
侑:え………?
あなた:17時には仕事終わって向かってたんだけど渋滞にはまっちゃって………
- そうやったんや
でも____ちゃんと会いに来てくれたんや
あなた:待たせてごめんなさい
侑:………いや
あなた:え………?
『 来てくれてほんまにありがとう。』
- 俺はあなたに会えたことが
何よりも嬉しかったんや______。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!