第3話

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2024/04/28 13:33







不思議な夢を見た
















水の中なのに苦しくなくて





水面が綺麗にキラキラと光り輝いていた














暗いようで明るいような絶妙な明るさで







ただ水面と自分の呼吸の泡が上に向かっていくのを眺めていた





















ジミン
ジミン
…変な夢



ふと目が覚めると見慣れた天井





今何時だろう








時計を見たら針が7:00過ぎを指していた







鳥がチュンチュンと鳴いている







ジミン
ジミン
朝か、

家事しないと…





重い体を起こして階段をおりる





リビングには父親が座っていた






おい、飯
ジミン
ジミン
うん、わかった…






眠い目をこすりながらキッチンに立つ





父さんは朝、バターを塗ったパンとブラックコーヒーを飲んでから仕事に行く






シンクに溜まった食器を片付けながらパンを焼いてコーヒーを入れる準備をする








アルバイトでカフェに働き出して、豆を砕くところから始まるコーヒー作りを知った





父さんが頑張れるようにいつも作っている







ドリッパーにペーパーフィルターを被せて、沸かしたお湯を入れて器具を温める





お湯を捨てて砕いたコーヒーを入れて、数回に分けてお湯をそっと注ぐ







時間はかかるけど丁寧にやれば父さんが美味しそうな顔をするから嬉しい






器具はもう使わないと言ってバイト先の店長がくれたもの





僕のお気に入りのひとつだ







初めは父さんがいつまで待たせるんだと殴ってきたりしたけど、何とかなだめて飲んでもらったら気に入ったのか待ってくれるようになった







僕の作るコーヒーを父さんが気に入ってくれたことがとても嬉しくて、思わず口角が上がってしまう








ジミン
ジミン
父さん、お待たせ





基本話しかけても無視されるけど、たまに返事してくれる






今日は無言のままパンをかじり、僕の作ったコーヒーをゴクゴクと飲んでいた














しばらくすると父さんは大きなキャリーを引いて家を出た






海外に旅行に行くんじゃないかってくらいの大きさだったから、長い出張になるのだろう









1人になった家はすごく静かで、心地よかった






ジミン
ジミン
散歩行こうかな、




天気がとても良くて、空は雲ひとつない青空が広がっていた






食器を片付け終わって少しだけ掃除機をかけて、服を着替えに自分の部屋に行く






朝の散歩はなかなかしないから少し楽しみだ






スマホと家の鍵を持って、いつもの公園に向かって歩き出した







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