あれから逃げ続けているけど、ずっと
鬼は追いかけてくる。
町の人はそう言って、立ち止まってしまった。
私は立ち止まり、町の人に走るよう促す。
グシャァ
...え?
目の前で、町の人が死んだ。
鬼に、金棒で後頭部を殴られた。
血が地面に広がってゆく。
さっきの音、私は知ってる。
人が死んだ音。
ケイドロの時に、知った。
けど、馴れるなんて無理だよ...
その時だった。
町の人の血が、動き出した。
町の人の血は、町の人の身体を呑み込むと
ある姿に変化していった。
鬼だ。
まさか、“増え鬼”って...
町の人だった鬼が、私たちに近付いてくる。
あれ...?
足が、動かない...
なのに、なのに、足が動かない。
どうして?どうして、震えてるの?
ねぇ、早く動いてよ。
逃げなきゃいけないのに。
町の人だった鬼が、私の目の前に現れる。
そして、金棒を降り下ろした。
痛...
くない...?
ポタ...
私の顔に、何かが垂れる。
私はそっと、それを触り、見てみる。
赤い。
私は恐る恐る、前を見る。
千歳はそう言って、私に倒れ込んだ。
千歳が、赤い。
これは、血...?
千歳、死んじゃうの?
鬼が金棒を降り下ろす。
嫌だ。
もう、止めて。
これ以上、人を傷付けないで。
キラッ
近くで、何かが光った。
包丁...?
何で、ここにあるの?
いや、そんなことどうでもいい。
千歳を、守らなきゃ。
私は、包丁に手を伸ばした。
グサッ
町の人だった鬼は、叫んで倒れた。
町の人だった、鬼。
町の人。
私、人を殺したの...?












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。