🏜️編 start
浅い眠りから目が覚めた時、私はハーツラビュル寮の部屋にいた。
赤いカーテン、整いすぎた空気、静まり返った空間。
足首に冷たい感触がして視線をずらすと、薔薇の模様が描かれた鎖が付けられていた。
..リドル先輩が魔法で付けたものだろうか...。
頭がぼんやりする。
リドル先輩達の優しい声がぐるぐると頭に残っている。
🌹 『 キミはボク等のアリスだ♡ 』
♦️ 『 ず~っと一緒に居てね♡ 』
❤ 『 オレ等のもんだろ?♡ 』
♠️ 『 絶対に離さないからな♡ 』
♣️ 『 壊さないように大事にするからな♡ 』
あの言葉の繰り返しが、まるで呪いみたいに消えない。
此処に閉じ込められてから何日経っているかもわからない。
――不意にドアが軋む音が響いた。
ギィッ..ガチャッ..
低く乾いた声。
顔を上げると、そこに立っていたのは...
レオナ先輩だった。
ドアを蹴り飛ばすようにして入ってきた彼の後ろに、ラギー先輩とジャックの姿も見える。
ラギー先輩笑いながらも、瞳の奥が冷たい。
ジャックの声は真剣で、私の足首に触れた瞬間、鎖が音を立てて切れた。
涙がにじむ。
けれどレオナ先輩の表情は、どこか苛立っていた。
その言葉に、胸がひやりと凍った。
レオナ先輩が手を伸ばす。
その指先が頬に触れた瞬間、全身が硬直した。
彼の手はあまりに熱く、力強く、支配の匂いがした。
彼が笑う。
その笑みは穏やかじゃない。
獣のそれだ。
ラギー先輩が軽口を叩くけど、その言葉に妙な温度があった。
ジャックの手が、優しく背中に添えられる。
その優しさが逆に怖い。
三人の声が重なるように響いて、私は小さく首を振った。
レオナ先輩が鼻で笑った。
そして、指先で私の顎を持ち上げた。
緑色の瞳が真っすぐに射抜く。
言葉を失った私の唇が、勝手に震えた。
頷くことも拒むこともできないまま。
――救いだと思ったその手は、もっと深い檻への入口だった。
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Episode2-2 🏜️編

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。