熱い風が頬を撫でた。
目を覚ますと、何処かの部屋だった。
硬いベッドの上、窓には鉄格子、ドアには重い錠。
昨日の記憶が、ゆっくりと戻ってくる。
レオナ先輩に連れ出されて、気づけば眠らされていた。
目を覚ました時には、すべての出口が塞がれていた。
低い声に振り向くと、レオナ先輩が椅子に腰かけてこちらを見ていた。
彼は”ライオン”のような瞳で、ゆっくりと立ち上がる。
バンッッ!!
レオナ先輩の手が机を叩きつける。
息が詰まる。
彼は一歩近づくごとに、部屋の空気が重くなる。
叫ぼうとした瞬間、軽く頬を叩かれた。
低く唸る声に、全身が震える。
そのとき、ドアの外から軽い声がした。
ラギー先輩が笑いながら入ってくる。
手にはトレー。食事と水。
ラギー先輩が笑う。
けれど、その笑みは不自然だった。
その言葉に、ラギー先輩の動きが一瞬止まった。
その声は静かで、優しいのに、どこか不安定だった。
ラギー先輩の指先が私の髪に触れる。
軽く、でも離れない。
後ろからジャックが現れた。
彼は真剣な顔で私の手にパンを握らせる。
真面目な声に、胸が締めつけられる。
誰も悪意があるわけじゃない。
でも、誰も“私を自由にしよう”とはしない。
声が震える。
その瞬間、レオナ先輩が笑った。
笑いながら、壁に手をついて私を見下ろす。
レオナ先輩の低い声が耳元で響く。
ラギー先輩の瞳が光を失い、ジャックの手が震える。
――”獣”しか居ないこの部屋で、私は少しずつ自分を失っていった。
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🏜️編
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!