昼下がりの図書館。
私は珍しく一人で過ごそうと、本を抱えて席についた。
――ほんの少しでいいから、誰にも囲まれずに呼吸したかった。
けれど、その時間は長くは続かなかった。
聞き慣れた、少し威厳のある声。
顔をあげたらリドル先輩が机の前に立っていた。
鋭い視線に、喉が詰まる。
否定しようとしても、リドル先輩の口調には逃げ道がなかった。
トレイ先輩が後ろから歩いてきて、私の肩に手を置く。
低い声で囁かれ、ぞわりと背筋が震える。
肩に置かれている彼の手は優しいのに、拒絶を許さない圧力を持っていた。
にこやかな声とともにケイト先輩が近づいてくる。
笑顔のまま言い切られ、反論の余地を奪われる。
エースが大きな声で駆け寄り、私の腕をぐいっと引いた。
苦笑い混じりなのに、目だけは本気だった。
最後に現れたのはデュース。
必死な顔で私の反対の手を握りしめる。
左右から腕を掴まれ、肩にはトレイ先輩の手、前からはリドル先輩とケイト先輩の視線。
逃げ道なんて、どこにもなかった。
震える声で問うと、リドル先輩がはっきりと答える。
言葉は甘く、決定事項のように響いた。
――その瞬間、胸の奥で小さな抵抗心が消えかけていくのを感じた。
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Episode 1-3 『 ハーツラビュルのアリスさん♡ 』
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。