
❤♠️ 「 スタートだ♡ 」
――放課後の教室。
いつもより少し遅くまで残ってしまった私は、慌てて教科書を抱えて駆け足で校舎を出た。
明るい声に振り向くと、ケイト先輩がいつもの笑顔で立っていた。
軽く肩を叩かれ、私は曖昧に笑う。
笑っているはずなのに、瞳だけがじっと私を見ている。
冗談めかしているのに、妙に引っかかる。
今度は背後からリドル先輩の声。
振り向くと、彼は真っ赤な髪を揺らして真面目な顔をしていた。
まっすぐな視線。
説教口調なのに、それは“心配”というより“支配”に近い。
穏やかな声で割って入ったのはトレイ先輩だった。
救いの声かとホッとした。
が...。
にこやかな笑顔の裏で、背筋が冷える。
“気にしてる”って、どこまで――?
突然腕を取ってくるエース。
いつもの軽さに思わず笑いかけそうになったが、彼の grip が強すぎて動けない。
冗談にしては必死すぎる声。
今度はデュースが真っ直ぐな瞳で見てきた。
声が強く響き、私は言葉を飲み込む。
必死な表情が、痛いほどまっすぐで。断ることなんてできなかった。
気づけば私は五人に囲まれていた。
それぞれ違う優しさで、違う強さで、違う形で縛ってくる。
――”愛されてる”はずなのに、どうしてこんなに胸が苦しいんだろう。
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Episode 1-2 『 キミはボク等のだからだよ..♡ 』

















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。