最近、俺の調子は悪い。
それは自覚していることだった。
でも、ソロを外してしまうだなんて思っていなかった。
若葉先生に呼び出され、個人面談的なものをすることになってしまった。
いつもの俺なら「大丈夫ってなんのことですか〜?(笑)」とか言うんだろうけど、今の俺にはそんな気力も残っていない。
本当のことを話すかどうか悩んだが、若葉先生は大人の女性だ。もしかしたら、何か良い解決方法を知っているかもしれない。
そう切り出して、俺は最近あったことを話し始めた。
好きな人がいて、告白したけど振られていること。その子への誕生日プレゼントを、他の女子と一緒に買いに行ったこと。それをその子に見られていて、付き合っていると勘違いされたこと。誕生日プレゼントを買いに行ったことを知られたくなくて、否定できなかったこと。毎日話していたのに、もう話さなくて良いと言われて、それから話せていないこと。
そこまで言うと、目から涙が零れ落ちるのを感じた。
こんなに思い詰めてたんだなと、自分のことなのに初めて気付く。
まあ、まずはこれで顔を拭きなさい、とハンカチを差し出してくる若葉先生。
優しいな、と思ってしまった。そんなことを考えている場合じゃないのに。
口で答える余裕がなかった俺は、頷いた。
う〜ん…と若葉先生は考え込んでいる。
俺も何か考えなきゃ…とは思うものの、涙が止まらない。
泣けば泣くほど辛いことを思い出してしまい、苦しくなる。
しばらく考え込んだ後、若葉先生は言った。
あ、たしかに…?
調子が悪かったのは俺の私情だ。それでも一緒にどうすれば良いか考えてくれた若葉先生は、ほんとに優しいと思う(笑)
感謝しなきゃだな〜(笑)
それにしても、どうやって2人きりにさせてもらうか……。
まず、誰に協力してもらうか、だな。
そのとき、桜庭の声が聞こえてきた。
あ、そうだ、桜庭に頼めば良いじゃん!ちょうど近くにいるみたいだし!
そう思い、声のする方に歩いていくと、会話内容がだんだんわかるようになってきた。
…桜庭が怒っている声と、奏音の戸惑っているような声が聞こえる。
…ん、怒ってる?そういえば桜庭って怒ると…………………………。
やばい、奏音が危ないかもしれない。急がないと…!
俺は、2人の声だけを頼りに走っていった。






















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。