第14話

我らが総代
50
2026/02/07 09:38 更新
そこから、二人は笑いながらケンカをしていた

見ている側でも分かる、あれは“ 気持ちいいケンカ“だ
十亀条
十亀条
さぁ、来いよぉ!!
ダッと走り出し、お互いの顔を蹴る
そして同時に、二人はそこに倒れていた
十亀条
十亀条
ふー……十分つきあってもらったし……
十亀条
十亀条
終わりにしようか
桜遥
桜遥
だな
お互いの拳が交わった時、十亀の拳は下に落ちた

……………は?
十亀は桜に殴られ、倒れる
桜遥
桜遥
……お前ぇ……
十亀条
十亀条
もう……立てなぁい
十亀条
十亀条
ギブアップ
モブ君達
……は…?
今なんて……
モブ君達
ギブアップ!?
モブ君達
何かの間違いじゃねーのか……?
……耐えきれない
アニメは何周もした、マンガも暇さえあれば読んだ
それなのに……
桜遥
桜遥
ふざっけんな!!
桜遥
桜遥
なんなんだ最後の……なにがギブアップだ……
桜遥
桜遥
てめぇ、なにわざ……
兎耳山丁子
兎耳山丁子
はーい、おつかれおつかれー
空気も読まず、兎耳山は二人の間に入った

どこまでも楽しそうだな、兎耳山は
腹立つほどにね
十亀条
十亀条
ちょーじ……
十亀条
十亀条
もうやめよう
このケンカ、オレたちに正義はない
十亀条
十亀条
オレたちが……オレが悪かったんだ
十亀条
十亀条
……ちょーじ
十亀が兎耳山に触れようとすると、十亀は蹴り飛ばされた

兎耳山によって
兎耳山丁子
兎耳山丁子
うるさいなー、もー
負けたんだから、黙っててよ
それを見た桜は、兎耳山の胸ぐらをつかんで殴りかかっていた

そしてその拳は、梅宮によって防がれた
梅宮一
梅宮一
桜……こーたい!
(なまえ)
あなた
……よかったよ、桜
(なまえ)
あなた
ちゃんと会話ができたみたいで
今のその行動が、なによりの“ 証 “だよ
そう言って、桜に向かって笑ってみせた
桜遥
桜遥
もし負けたら……ぶっとばす
梅宮一
梅宮一
おう!
桜はステージから降りると、疲れのせいかふらりと体勢を崩した
(なまえ)
あなた
桜!
それを、私が支えた

……あれ、私今、推しをハグしているのと同等なのでは?
考えないようにしよう
(なまえ)
あなた
おかえりなさい
楡井は目の縁に涙を溜めて、他のみんなも桜の方を向いた
蘇枋隼飛
蘇枋隼飛
にれ君、また泣いてる
楡井秋彦
楡井秋彦
すごかったっす、感動しました!!
柊登馬
柊登馬
桜、お前は気にくわんだろうが、最後のは十亀なりのケジメなんだろう……
柊登馬
柊登馬
それ抜きにしても、よくやってくれた
桜遥
桜遥
……っ
(なまえ)
あなた
本当だよ、生きててくれて、よかったぁ
推しと離れるなんて考えられないもん
No推しNoライフ
これが私のモットーなんで
梅宮一
梅宮一
一つ聞きたいんだが……さっきのケンカを見て、なにも思わなかったのか?
兎耳山丁子
兎耳山丁子
え?なにが?
梅宮一
梅宮一
そうか……残念だ
兎耳山丁子
兎耳山丁子
残念?なんで?
さっきまでとは程遠く、空は暗くなり、落ちた雷が不気味だった
それに、悪い意味で似合う兎耳山の顔
どうも恐ろしかった
兎耳山丁子
兎耳山丁子
ま、いいや
そんなことより、梅ちゃんやっぱりずるいずるい!!
兎耳山丁子
兎耳山丁子
ボウフウリンには、強い子がいっぱいいる
うちとは大違いだよ
兎耳山丁子
兎耳山丁子
みんなが弱いせいで、オレは自由になれない
楽しくない
兎耳山丁子
兎耳山丁子
でもオレが勝てば、梅ちゃんも風鈴も女の子も、ぜーんぶオレのもの!!
兎耳山丁子
兎耳山丁子
さぁ、梅ちゃん
オレに、よこせぇぇ!!
蘇枋隼飛
蘇枋隼飛
あんな滅茶苦茶な動き、初めて見た……天然の化け物だね……
(なまえ)
あなた
それは、「獅子頭連」史上、最年少で頭取になった人だからね
相変わらずアクロバティックな動きだなぁ
絶対フィジギフ持ってる
私には程遠いや
梅宮一
梅宮一
なぁ、兎耳山
兎耳山丁子
兎耳山丁子
なに?梅ちゃん!
梅宮一
梅宮一
たられば言ってるうちは、しんどいままだぞ
兎耳山丁子
兎耳山丁子
だーかーらー、梅ちゃんの言ってること、よくわかんない!!ってば!!
そして、梅宮からの強い圧を感じて、私ちょっと心臓がヒュンってなった

梅宮、恐ろしや……絶対起こらせんとこ
梅宮一
梅宮一
そうか……わからないか……
そして、避けたはずの兎耳山の鼻からはだらだらと鼻血が出てきた
毎回思ってたけどあれどういう原理なんだろ?
梅宮一
梅宮一
そんなこともわからないヤツに、オレは100%負けない
梅宮カッコいい〜〜〜〜!!!
流石は我らの総代だぜぇ!!


そこからの二人は凄まじかった
桜の時よりも、圧はずっと続いていた
兎耳山丁子
兎耳山丁子
あっれー、おかしいな?
ちゃんと当ててるはずなのに
梅宮一
梅宮一
軽いんだよ、お前の拳は
兎耳山丁子
兎耳山丁子
……は?
梅宮一
梅宮一
なぜだかわかるか?
なにも背負ってぇからだ
兎耳山丁子
兎耳山丁子
……ほんっと意味わかんない
軽いだかなんだか知らないけどさ……倒れるまでやれば同じでしょ
兎耳山丁子
兎耳山丁子
嫌ってほど、浴びせてあげるよ!
梅宮一
梅宮一
……だから、効かねぇって、言ってんだろ!!
梅宮は兎耳山を上から地面へと叩きつけた

見るのが痛々しいなぁ……でも、この後もっと痛々しいのが来るんよなぁ
まあでも私は長女なので耐えますが
梅宮一
梅宮一
理由はなんであれ、てっぺんになったんだろ?だったら下のもんにあんな顔……させてんじゃねぇ!!
楡井秋彦
楡井秋彦
オレ……風鈴に来てよかったです
あの人がオレたちのトップでよかったです
ほんとそう……私もう風鈴以外考えられないもん
杉下と一緒に崇め奉ろうかな
梅宮の言葉が効いたのか、兎耳山は髪をちぎりだし、虚ろな瞳をしていた
兎耳山丁子
兎耳山丁子
全部いらない
そこからの兎耳山は、人が変わったかのように暴れ出した

だがそれ以前に、梅宮が抵抗しないことに桜はしびれを切らした
桜遥
桜遥
何やってやがる!!
100%負けねぇなんて啖呵切ったくせに!
桜遥
桜遥
どういうつもりだ!!
杉下京太郎
杉下京太郎
おい、黙ってみてろ
その杉下の言葉に、桜は少しひるんだ

おお……杉下の圧がすごい
梅宮一
梅宮一
兎耳山、すまん
お前を追い詰めたかった訳じゃないんだ
梅宮一
梅宮一
そこまで切羽詰まってたんだな……
兎耳山丁子
兎耳山丁子
う、うるさいっ!!
梅宮一
梅宮一
でも……やけになって全部壊しちまったら
梅宮一
梅宮一
これからもずっと、しんどいままだ
兎耳山丁子
兎耳山丁子
うるさいうるさいうるさい!!!
兎耳山は梅宮の首に噛み付いた

ひっ、やっぱここ何回見ても慣れないわぁ……
いくら暴走したってこれは、ねぇ……びっくりなんてレベルじゃないわ
だが、梅宮は抵抗せず、兎耳山の頭をそっと撫でた
梅宮一
梅宮一
大丈夫だ、お前の中にちゃんと答えはある
兎耳山丁子
兎耳山丁子
……ッ、し、知らない!!
梅宮一
梅宮一
兎耳山、ボウフウリンと獅子頭連が揉めた時のこと、覚えてるか?
梅宮一
梅宮一
結局は……勘違い……だったなぁ
梅宮一
梅宮一
あの時、お前の周りに何があった?
お前の目には何が映っていた?
梅宮は兎耳山に近づく
蹴りを浴びても、近づく
梅宮一
梅宮一
思い出せ兎耳山、あの時見えていたものを……それがお前自信と、てっぺんに必要なものだ
梅宮一
梅宮一
思い出せぇ!!
兎耳山ぁ!!
ゴンッ!という音を響かせて頭突きをし、兎耳山は静かにその場に倒れていった

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