次のニュースをお伝え致します。
色々考えていたら、
ニュースの内容を聞き逃してしまっていた。
昔からこの笑顔を向けられていた筈なのに、
思わず目を逸らした自分が居る。
鼓動も早くなり、僕の心はドキドキしていた。
何故そうなったのかを考えたくなかったから、
目線の先にある床に意識を向けてみた。
床に意識を向けたお陰で、
普段気にもとめなかった汚れを見つけることが出来た。
大切な双子の弟が住んでる家に、
こんなに汚れが存在するのは許せない。
善は急げ、思い立ったが吉日。
やる気がある間に掃除を済ませてしまおう。
とりあえず、足の踏み場所を確保する為に
床に散乱している荷物を退かすことにした。
グシャグシャになっている昔のレシート、
お菓子の空袋を手当り次第にゴミ袋に入れる。
そういえば、随分自炊をしていなかったな。
あんなブラック企業に勤めてたんだから、しょうがないか。
休職中は、なるべく健康な食事を心掛けていこう。
その後、床に落ちている髪の毛や埃等を掃除機で吸う。
仕上げにコロコロをかければ、一通りの掃除は完了。
少し食い気味な返事をした不自然さを取り繕う嘘が、
あまりにも自然に口から出ている自分に驚いた。
言ちゃんに嘘なんか吐きたくないのに、
そうしないと言ちゃんを守れない。
さっさとゴミを捨てて、消臭剤でも買って帰って来よう。
傷付くのは僕だけで良いから。
意を決してドアを開けると、外にいる住民達と目が合った。
あまり関わりたくなかったが、
1人の大人として、一応挨拶をする。
返事は返って来ず、代わりにヒソヒソ声が聞こえた。
どうせ、僕の噂話だろう。
平日の昼間から外に出てるんだから、しょうがない。
そもそも、僕の仕事のことも知られてしまっている。
嫌われてしまうのも当たり前だ。
冬の水道みたいに冷たい目線を避けるように、
急いでゴミを捨てて、買い物へと向かった。
買い物から戻ると、さっきの住民たちは家に帰っていた。
ドアには紙が貼られていたけど、大したことは無い。
この声が聞こえるだけで、僕は生きていけるから。
心の芯が冷えきって何も感じられなくなったとしても、
君の事を思えば大量の感情が押し寄せてくるはずだ。
太陽みたいな君の傍に居るだけで、
不思議と自分も明るくなれる気がする。
遺伝子も育ってきた環境も一緒な筈なのに、
どうしてこうも違うんだろうか。
考えに耽っていると、不意に声が聞こえた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!