第19話

好きだから
359
2025/09/26 12:00 更新
# side - 睦季



みんなと心が通った翌日。





_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
あーおわったー!!
_凛都@りつ_
凛都りつ
腹減った〜
_睦季@むつき_
睦季むつき
4組も終わったかな…?
_菫@すみれ_
すみれ
終わったらしい。もう来るって。


伸びをしてペンを置く晴燈は、にいっと笑った。
4限目が終わった昼休み。腹を空かせた2人を連れて、菫と共に廊下に出る。


4組の方向から、嬉しそうに駆けてくる2つの影。



_睦季@むつき_
睦季むつき
おい!走んな!!
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
wwwwwwwwwww
_菫@すみれ_
すみれ
また言われてんな
_凛都@りつ_
凛都りつ
あいつらと睦季の出会いを見れた
_奏響@そら_
奏響そら
ごめんって風紀委員〜〜〜
_零哉@れいや_
零哉れいや
めっちゃ走っちゃったwww
_睦季@むつき_
睦季むつき
にこにこにこにこ走ってきやがって
_睦季@むつき_
睦季むつき
だめだっつーの
_奏響@そら_
奏響そら
でも風紀委員も走ったことあるよね??
_睦季@むつき_
睦季むつき
……特別なことがない限りは、走らない
_零哉@れいや_
零哉れいや
今特別なことあったから走ってたんだけど!?
_睦季@むつき_
睦季むつき
昼一緒なのは特別じゃねーだろ、アホか
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
ちょいちょいちょい
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
我腹減り
_凛都@りつ_
凛都りつ
中庭いこーぜ



凛都の一言に足を踏み出す。






白昼の中庭は輝き、後光が差すみんなに眩む。


明るい空の下、俺が〝 友達 〟と集える日が来るなんて。






_奏響@そら_
奏響そら
座ろうよみんな、それとも日陰がいい?
_零哉@れいや_
零哉れいや
お前もう日陰陣取ってんじゃん
_菫@すみれ_
すみれ
悪いか
_零哉@れいや_
零哉れいや
悪いなんて言ってねーだろ



みんな次々日陰に座り、俺も日陰に腰掛ける。


木漏れ日が眩しくて、それがまた幸せで。




こんな気持ちになれたのは、いつぶりだろう。




_零哉@れいや_
零哉れいや
いただきまーす



零哉の一言目を合図にいただきますと輪唱し、談笑しながら飯を口に運ぶ。


_睦季@むつき_
睦季むつき
……なんか



口を開くと、みんなは箸を止める。





_睦季@むつき_
睦季むつき
、ここ数年で、1番
_睦季@むつき_
睦季むつき
1番、美味い




ぽつり呟くと、なんとも嬉しそうに笑うみんな。
_凛都@りつ_
凛都りつ
俺もそう思う
_零哉@れいや_
零哉れいや
美味いね!!
_菫@すみれ_
すみれ
めっちゃ美味い。
_奏響@そら_
奏響そら
最高
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
わかるー!特にこのちくわがさ…
_零哉@れいや_
零哉れいや
そういうことじゃねーよ!
_睦季@むつき_
睦季むつき
wwwww
_菫@すみれ_
すみれ
wwwwww
_奏響@そら_
奏響そら
ほんとに君はなんなんだ
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
え〜!?弁当美味いって言ったやん!みんな!!
_睦季@むつき_
睦季むつき
久しぶりに、なんの悩みもなく心を許せる人達と食事ができてるなって
_睦季@むつき_
睦季むつき
だからうめえって話な??




何気なく口にした言葉。
だけど、言い終わったあとに小っ恥ずかしくなり、口を噤む。
_奏響@そら_
奏響そら
俺達と同じように思ってくれてるの、めっちゃうれしい
_零哉@れいや_
零哉れいや
高2でここまでの友達ができるとは思ってなかったよ
_凛都@りつ_
凛都りつ
なんなら高1でも思ってなかったよww
_菫@すみれ_
すみれ
出会いに感謝だな
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
さいこーにおいしーよ!!
……睦季、それなに?
_睦季@むつき_
睦季むつき
これ?たこさんウインナー。
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
えー!いーな!僕のハンバーグ半分あげるから1個ちょーだい!
_睦季@むつき_
睦季むつき
いいよ、交換しよ
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
やったー!!



ハンバーグを半分に割って俺の弁当箱に入れると、嬉しそうにたこさんウインナーを口に運ぶ。


晴燈、本当に自分に素直で、見てて優しい気持ちになる。




_睦季@むつき_
睦季むつき
……みんなは、さ


もきゅもきゅたこさんウインナーを頬張る晴燈から、ぐるっとみんなを見回す。



_睦季@むつき_
睦季むつき
どうして、俺にあんなに、良くしてくれたの、、?



お世辞にもいい態度とは言えなかった俺。



避けて、心無い言葉を吐いて、それでもみんなが愛想を尽かさないでいてくれたのが疑問だった。
_奏響@そら_
奏響そら
んーーー知りたかったからかなあ
_零哉@れいや_
零哉れいや
好きだから
_睦季@むつき_
睦季むつき
……俺、全然良い奴じゃなかったよ
_睦季@むつき_
睦季むつき
きっと、みんなが傷ついたこともあったと思う
_睦季@むつき_
睦季むつき
それでも、傍にいてくれたよね。
_奏響@そら_
奏響そら
もっと本性がある気がした。
_奏響@そら_
奏響そら
Nakamu、言い方こそきつかったけど、人を傷つけるようなことは言ってなかったよ。
_零哉@れいや_
零哉れいや
本性から乱暴な感じなら、発す言葉も思いやりのないものだったと思う。
_零哉@れいや_
零哉れいや
でもNakamuは、表面だけだった。
発す言葉に思いやりのない言葉はひとつもなかった。
_零哉@れいや_
零哉れいや
当時は要因なんてよくわからないまま、こいつはなにか隠してるーって、そんなことを直感で思ってただけだったけど、今思えばそういうことだったんだと思う。
_奏響@そら_
奏響そら
俺達が寄り添いたいと思えたのは、Nakamuの優しさが溢れてたからだよーー
_睦季@むつき_
睦季むつき
なんでそんなに、好きでいてくれてるの、?
_睦季@むつき_
睦季むつき
俺ッ……
「 俺、みんなに何もしてない。」と言おうとすると、奏響が口に人差し指を当てる。




_奏響@そら_
奏響そら
好きな理由じゃなくて、好きが理由。ね?





_零哉@れいや_
零哉れいや
……急に喋んなくなるやん、3人
_睦季@むつき_
睦季むつき
確かに

にまにまとこっちを見る3人。
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
言いたいこと全部言ってくれたから。奏響と零哉が
_凛都@りつ_
凛都りつ
てか絶対奏響と零哉の方が睦季のこと知ってるし、言語化上手いし
_菫@すみれ_
すみれ
俺が出るまでもなかった。
_零哉@れいや_
零哉れいや
言語化下手くそかお前ら



長時間話していたことに、日陰の傾きで気が付く。



もう昼休みも半ばか、と思っていると、遠くから話し声が聞こえた。
大きくて、頭に響く声。



……俺は、この声の主を知っている。







_睦季@むつき_
睦季むつき
…なんか聞こえない?
_菫@すみれ_
すみれ
聞こえる。近づいてきてる気がする。




菫がそう言った時。


ちょうど俺の目の前に、2つの人影が。




嫌に口角が上がる2人を、睨みつけた。





──
どーしたんだよ怖い顔しちゃってさあ!
──
今日もそいつらと一緒なんだな!w
──
お前ら気持ち悪くねーの?wそいつ百合好きなんだぜw
──
おいただの女好きだろwwwwwwwww.
──
風紀委員がよwwwwww
──
wwwwwwww



動悸が止まらない。震えも止まらない。
思い切り箸を握る。





_奏響@そら_
奏響そら
お前ら…!!!




俺のために怒ってくれる奏響の前に手を出し、震える脚で立ち上がる。



もう逃げない。


みんなに、教えてもらったんだ。
みんなが教えてくれたんだ。





俺には、みんながいる。




──
なんだよてめーw
今更反論か?w



みんなの心配の視線を感じる。


その優しさが、俺を立ち上がらせてくれたんだよ。






_睦季@むつき_
睦季むつき
俺は、
_睦季@むつき_
睦季むつき
……俺は、!



_睦季@むつき_
睦季むつき
、俺は、ソフト百合が好きだ!!!
文句があんなら言ってみろ!!!!!








初めて声を張った。


初めて、胸を張った。












──
、んだよ急に、気持ちわりぃ
──
行こうぜ、





気味悪がって2人が背中を向けたのを見て、体の全ての力が抜けた。

_凛都@りつ_
凛都りつ
大丈夫!?
_睦季@むつき_
睦季むつき
、っう……



倒れ込んだまま、嘔吐きが止まらない。




……でも、言ったんだ。言えたんだ。










_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
ねー!?トラウマは簡単に克服できないって、言ったでしょ、!
_菫@すみれ_
すみれ
トラウマを消すのは不可能と同義だ。無理するな。



嘔吐きでなにも返せない。



みんなの心配に、気遣いに、ありがとうって言いたいのに。
_奏響@そら_
奏響そら
その通り、無理は禁物。
……でも、めっちゃかっこよかったよ。
_零哉@れいや_
零哉れいや
ひひ!Nakamuやるじゃん!
_零哉@れいや_
零哉れいや
掴まれる?保健室行こっか



零哉の手をなんとか掴むと、奏響が腕の下に肩を入れて立ち上がる。





_睦季@むつき_
睦季むつき
、ご、め、、




謝りたくて、お礼を言いたくて、口を開く。




_零哉@れいや_
零哉れいや
バーカ。そんなのあとでも言えるだろ。
今は喋んな!
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
睦季の荷物持ったよ〜!睦季まーじですごかったよ
_凛都@りつ_
凛都りつ
俺もびびった
_菫@すみれ_
すみれ
睦季にこんなことができる力が秘められていたとはな
_凛都@りつ_
凛都りつ
なかなかできないことだよ、自信持て



みんなのあたたかさが沁みて、涙が滲む。




よくみるとみんなも、涙目で。









……なんでそんなことができるんだよ、お前らは。



お前らこそ、並大抵の人間にはできないこと、してるよ。





できる限り笑って、声を絞る。








_睦季@むつき_
睦季むつき
……ありが、と、みんな、
_零哉@れいや_
零哉れいや
俺らみんな、Nakamuのこと好きだから!ね!


みんなも涙目で笑って、頷いてくれた。







































_奏響@そら_
奏響そら
まじで変わったな、Nakamu。
_奏響@そら_
奏響そら
表情かおも、心も、オーラも。





保健室につき、事情を説明して横になった時。



奏響はぽつりとそう言った。












_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
……なんでさ、睦季にだけニックネーム付けようと思ったの?



それを聞いて、晴燈が聞く。



……そういえば。ニックネームがあるのは、俺だけだ。







_奏響@そら_
奏響そら
距離を縮めるひとつの手段。
_零哉@れいや_
零哉れいや
全然相手してくれなかったから、ちょっとでもって思って
_凛都@りつ_
凛都りつ
みんなにつけようぜ、それ
_凛都@りつ_
凛都りつ
NakamuはNakamuな
_睦季@むつき_
睦季むつき
なんでだよ!?
_凛都@りつ_
凛都りつ
なんとなく
_菫@すみれ_
すみれ
それいいね。みんなでそれで呼び合おうか
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
大あり!!




みんながうんうん頷くと、零哉は突然スマホをいじり出した。





ニックネーム、という響きが、なんだか擽ったかった。








_零哉@れいや_
零哉れいや
もう戻らなきゃかな?教室
_凛都@りつ_
凛都りつ
そろそろ始まるなー嫌だけど
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
もうちょっとここにいてよ睦季!!まだ本調子じゃないでしょ?
_睦季@むつき_
睦季むつき
その通りです……
戻ろうと思い少し体を動かすと、晴燈が言う。



勿論図星で、まだ心の砂嵐はおさまっていないし、ほんの少しの刺激でまた体調を崩す予感がする。






_零哉@れいや_
零哉れいや
じゃ、6人のグループ作ったから
_零哉@れいや_
零哉れいや
なんかあったらここに連絡してもいーからね!Nakamu!
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
なかむ!
_凛都@りつ_
凛都りつ
Nakamu!
_奏響@そら_
奏響そら
Nakamuーーー
_菫@すみれ_
すみれ
Nakamu。
_睦季@むつき_
睦季むつき
やかましいなw
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
僕らのも決めよーねーNakamu!
_睦季@むつき_
睦季むつき
、うん










それを最後に出ていこうとするみんなの背に、一言言いたかった。






伝えたい言葉があった。







































_睦季@むつき_
睦季むつき
俺も、みんなのこと








_睦季@むつき_
睦季むつき
好きだよ

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