第13話

屋上の悪夢
556
2025/06/28 15:00 更新
# side - 睦季




昼休み。




かんかんと軽快な6つの足音が、冷え冷えとした階段にこだます。


大きな扉に体重をかけ、外の風を全身で浴びる。




_奏響@そら_
奏響そら
うわーーいい風
_菫@すみれ_
すみれ
爽やかな昼になりそうだな
_凛都@りつ_
凛都りつ
爽やかな昼(誇張0モノマネ)
_零哉@れいや_
零哉れいや
爽やかな昼(誇張0モノマネ)な?
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
すわろすわろー!おなかすいたあ
_睦季@むつき_
睦季むつき
どこにする、?
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
この辺でいいっしょ!
躊躇なくどーんと床に据え、みんなに座って座ってとジェスチャーする晴燈。
それに従い、全員がその場に座った。



いつも通り、わちゃわちゃ賑やかにご飯を食べる。

晴燈がボケて、零哉と奏響がツッコんで、

的外れな発言をする菫、それにツボりいじる凛都。


この空気が好きだ。心地良くて、安心感があって。





みんなとの会話に参加しながら、何を言おうかと思考を巡らせる。



俺がここにみんなを呼んだのは、言いたいことがあるからだ。

言いたいことを、言うためだ。





_零哉@れいや_
零哉れいや
だいじょぶかー??険しい顔して


そんな俺の顔を覗き込み、零哉が言った。
_睦季@むつき_
睦季むつき
、え、?
_奏響@そら_
奏響そら
怖い顔してたよ
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
悩み事〜?
_凛都@りつ_
凛都りつ
なんでも聞くよ
でも、やだったら無理するなよ?
_菫@すみれ_
すみれ
お前、めちゃくちゃ顔に出るからな
_睦季@むつき_
睦季むつき
うぐ、、

急に図星を突かれ、声が漏れる。


俺は、感情を抑えられるタイプではない。それが周知の事実とされているのを認識し、なんとなく怖くなった。










……でも、今日ばかりは、臆病な俺を許してやっちゃいけないんだ。
俺は今日伝える。何があっても。




そう決めたんだ。俺は誰も裏切れない。みんなも自分も。

男に二言は無い。




_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
ん!!これうんま!
_零哉@れいや_
零哉れいや
あ、おい!俺の唐揚げ!



そうやってまた沈む中、2人の言い合いが耳に飛び込んだ。



反射的に顔を上げると、晴燈は口をいっぱいにして笑っている。


_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
んめ〜♥



本当に幸せそうで、憎めない。


悔しそうに引き攣る零哉の肩にぽんと手を置いて、奏響が一言。




_奏響@そら_
奏響そら
それはね、お前が油断したのが悪いよ。
_零哉@れいや_
零哉れいや
くっそ…



励ますのかと思ったら堕としにきた奏響と素直な零哉は、なんだか面白いというか、微笑ましいというか。


……悔しそうだけど。
_凛都@りつ_
凛都りつ
じゃあこれあげるよ
_零哉@れいや_
零哉れいや
おっ!あざっ……ってこれおい!凛都!俺の弁当箱に入ってた卵焼きだろ!!!!
_凛都@りつ_
凛都りつ
wwwwwwwwwwwwwwww
_零哉@れいや_
零哉れいや
ふざけやがってお前ら……
_菫@すみれ_
すみれ
まあまあ元気だせ、これ食うか?
_零哉@れいや_
零哉れいや
それは菫が梅干し嫌いなだけだろ
もらっとくけど
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
もらうんかいー
_零哉@れいや_
零哉れいや
元はと言えば!おめーのせいだからな!
おかずねーんだよ!
_睦季@むつき_
睦季むつき
、wwwww
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
ねえまってよ睦季が1番わるい!w
_睦季@むつき_
睦季むつき
なんでだよ!?w
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
ずうーっとくすくす隠れて笑ってた!1番バカにしてます
_零哉@れいや_
零哉れいや
晴燈、二度とその口で俺のNakamuを罵倒するな
_奏響@そら_
奏響そら
は?いつお前のになったの?口を慎め
_睦季@むつき_
睦季むつき
、、!?!
_睦季@むつき_
睦季むつき
誰のものでもねえし、2人して付け上がりやがって。
_菫@すみれ_
すみれ
睦季、あいつらからは離れた方がいい
_睦季@むつき_
睦季むつき
たしかに。
_零哉@れいや_
零哉れいや
ちょーっとごめんって!
_奏響@そら_
奏響そら
ごめんごめんw


急に俺にきて動揺し、つい冷たく言い放ってしまった。


だけど、2人とも怒らない。






……チャンス。



俺に来てくれた今。俺は、俺は、俺の話を。



甘えてごめん。みんな。







_睦季@むつき_
睦季むつき
、あのさ、!



勇気をだして言うと、思ったよりも大きな声が出る。
……でも、怯むな。大丈夫。


俺ならできる。みんなに俺の話を、したい。





みんなは優しく頷く。


きっと、みんなならわかってる。





俺が何かを、話そうとしてること。
_睦季@むつき_
睦季むつき
……俺、俺さ
_睦季@むつき_
睦季むつき
、好きな物が、あって、
_睦季@むつき_
睦季むつき
ずっと、!救われてきて、それに
_睦季@むつき_
睦季むつき
…でも、言うと、今までずっと
_睦季@むつき_
睦季むつき
ずっと腫れ物扱いされて、いじめられて、バカにされた
_睦季@むつき_
睦季むつき
……だから言えなくて、
_睦季@むつき_
睦季むつき
言ってなくてごめん、冷たくして、みんな優しくしてくれてる、のに
_睦季@むつき_
睦季むつき
言い訳がましくて、ごめ、ん



言葉が上手く紡げない。



ああ俺、絶対今変なこと言ってる。







つーんと熱くなる鼻奥。






_零哉@れいや_
零哉れいや
言い訳じゃないよ!
_菫@すみれ_
すみれ
ゆっくりで大丈夫
_晴燈@はるひ_
晴燈はるひ
無理に言わなくてもさ〜!
いつでも聞けるよ
_睦季@むつき_
睦季むつき
、ありがとう





みんなのあたたかい優しさに触れ、喉に張り付いた氷が溶けた気がした。





また話そうと、息を吸い込む。







_睦季@むつき_
睦季むつき
あの、俺ね…、!

















ガタンッ!





















勢いよく屋上の扉が開いた音がした。





びくっと跳ねる肩。



なぜだか嫌な予感がする。











奏響と零哉は、さり気なく俺に近づいてくれた。


優しさに涙が出そうになる。














──
お!えー!?山中!?
──
山中じゃーん!!w









_睦季@むつき_
睦季むつき
……、っ





全身が硬直し、箸が落ちる。




_零哉@れいや_
零哉れいや
どうした?
_奏響@そら_
奏響そら
Nakamu、?


声をかけてくれる2人。





身体が震えているのを感じる。














_菫@すみれ_
すみれ
知り合いか?










菫も俺の方を向き、優しく俺に問いかける。







俺は、小刻みに顔を横に振った。












なんで、なんでお前らがここに。

















──
友達できたんだなー!w
──
おいやめろってwwwwwwwwwww
























──
百合好きな変態に友達ができたみたいで良かったわ!!!!















































言うだけ言って、こそこそ話し、屋上を後にした2人組。
























































































全身の血液が心臓に集まり、末端が冷えていく感覚。








みんなの俺を見る目。





















荷物を全部置いたまま、震える脚を奮い立たせて駆け出した。





背中にぶつかるみんなの声も、聞こえないフリをした。










怖かった。俺に向けられる言葉の数々が。







































がむしゃらに家に向かった。








血と涙でぐしゃぐしゃになった。





















































































俺は、弱い。



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