# side - 睦季
みんなは一瞬目を丸くした後、すぐに輝かせた。
その表情の変化の真意が俺にはわからなくて、体が固まった。
やっぱり迷惑だったかもしれない。
みんなは嫌だったかもしれない。
言葉が詰まる。
俺が言い切るのを待つことなく、思いっきり俺に抱きついてきた晴燈。
晴燈の体温を感じた瞬間、なぜだか、みんなの感情が手に取るようにわかった。
快く了承してくれるみんなに、俺の張り詰めた糸も緩む。
でも晴燈は、みんなと違うことを言って、ずっと俺に体重を預け抱きついている。
信頼を感じられると同時に、どう対応していいかわからず困惑が走る。
心配になって彼の名を呼ぶと、晴燈はぱっと顔を上げた。
晴燈の、幼児のように柔らかい無邪気な笑顔。
俺の緊張が、溶ける音がした。
思ったことをそのまま口に出す晴燈の素直さは、俺の心の支えになる。
この笑顔を向けられると、自己肯定感が上がる…気がする。
片手で俺の両頬を挟んで、菫は続けた。
菫の真剣な瞳に、落ち着いた声色に吸い込まれた。
みんなも反抗することなく、頷きながら菫の話に耳を傾けている。
本当なんだ。全部、みんなの本心なんだ。
強ばった身体から、どんどん力が抜けていく。
〝 嬉しい 〟という言葉を噛み締めるように、菫は何度も何度も口にした。
全部言いきったあと、ぐっと力を入れてさらに俺の両頬を潰し、菫は目を逸らした。
最後にふっと笑みを漏らして、菫は手を離した。
でも、頬には菫の手の感覚が残っている。
俺はそっと、その温もりに触れた。
菫の…
みんなのこんなに真剣な想いを、面と向かってぶつけられたのは、初めてで。
なんだか圧倒されて、力が入らないまま、俺も精一杯の気持ちを返す。
にいっと口角を上げて、零哉が一言。


















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。