第13話

#13 闇の魔法
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2025/12/30 08:41 更新
あなたの下の名前(例フラワー)の心の中
頼られない、という選択が
こんなにも静かで、残酷だとは思わなかった。
あなたの下の名前(例フラワー)は分かっていた。
ハリーが強くなろうとしていることも、
一人で立とうとしていることも。
でも――
一人で傷つこうとしていることも。
スリザリンの談話室で、
あなたの下の名前(例フラワー)は薬瓶を見つめていた。
治癒用。
誰かが怪我をする未来を、
もう予測してしまっている自分がいる。
「……頼られないなら」
小さく、誰にも聞こえない声で。
「守る必要も、ないよね」
その言葉は嘘だった。
自分に言い聞かせるための、
一番弱い呪文。
その夜、あなたの下の名前(例フラワー)は初めて
禁書庫の奥に足を踏み入れた。
誰かを助けるためじゃない。
誰かと分かち合うためでもない。
——一人で、背負うために。
もしハリーが頼らないなら、
自分はもっと強くならなければならない。
優しさを削って、
躊躇を削って、
「正しさ」を削ってでも。
本のページをめくるたび、
胸の奥が静かに冷えていく。
守護霊を呼ぼうとして、
鹿の光は一瞬だけ揺れた。
完全には、出なかった。
「……大丈夫」
誰に向けた言葉かも分からないまま。
その頃、
ハリーは知らない。
自分が“頼らない”と決めたことで、
あなたの下の名前(例フラワー)が誰にも頼らなくなったことを。
そしてこの選択が、
二人を守るのか、
それとも闇へ導くのか――
まだ誰も知らない
#14 沈黙

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