ちょうど、樋口一葉が仕事をしている頃。
彼、ドストエフスキーは、〇●倉庫に仕掛けたカメラから、彼女の仕事ぶりを見ていた。
彼はとても満足げに笑っていた。
彼はニコライ・ゴーゴリ。
ドストエフスキーや樋口と同じく、殺人結社「天人五衰」の一人。
ドストエフスキーのことをドス君と呼称し、親友を自称している。
ドストエフスキーはカメラから送られてきた映像をニコライに見せた。
しばらくの沈黙。
ニコライは沈黙を破るべく、また退屈な時間をつぶすべく、様々な策を練りだした。
奇術は、即座に仕掛けを見破られてしまう。
かといって雑談として彼に振るべき話題もない。
暫く考えたニコライは、ずっと彼か、樋口に聞きたかった疑問を口にすることにした。
ドストエフスキーは無言で部屋のドアの方をじっと見つめた。
つられて、ニコライはドアのほうを見て、異能でドアを開けた。
シグマ。
天空カジノのオーナーで、フョードルらと同じく天人五衰の一員。
世界中の情報機関を使っても三年前に警察に捕まった時からの記録しかなく、過去を持たないまるで途中から始まっている小説のような男。
そして、すぐに紅茶ができ、ドストエフスキーはそれを飲みながら過去を語り始めた…












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!