彼女と会ったのは、十年位前のことです。
僕はとある研究所の破壊と、被験者の殺害を試みました。
その工場は、異能力者を研究し、完璧な異能を作ろうとしていたのです。
それで、前もって侵入し、仕掛けておいた爆弾を起動させた後、その研究所に行ってみたのですが、爆弾の威力以上に研究所が破壊されてしまっていました。
被験者たちが暴れたのでしょう。
とりあえず、被験者たちがいそうな場所を探そうと、研究所内を回っていたら…
まだ蜂蜜色の長い髪に、紅い目をした幼女が、赤いナイフで研究員を殺しているところに出くわしたのです。
赤いナイフはそのあと地に落ちて、血液に戻りました。
樋口さんは、突っ立ってる僕に声を掛けました。
僕が答えると、彼女は忠告をしました。
僕は彼女を誘いました。
彼女の異能があれば、僕の理想を達成するのがもっと早くなる、そう思ったからです。
僕は、彼女をそそのかしました。
彼女の瞳が、手が、わずかに揺らいでいます。
しばしの沈黙の後。
彼女は僕の手を取りました。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!