said 穂波
昔から周りの目が怖かった。
味方ではないものは全て敵、という周りの考えに嫌気がさしていた。
敵は排除されちゃうから。
だからわたしは、誰にでも優しくした。
誰にでも味方となるために。
その言葉はナイフのように胸に突き刺さった。
それからわたしは“いじめ”を受けるようになった。
あ
幼馴染の咲希ちゃん、志歩ちゃん、一歌ちゃんはいつもわたしを助けてくれていた。
ある時…いじめっ子らに呼び出された。
バットを振り下ろされている光景がスローモーションのように見えた。
ああ、わたし、ここで死ぬんだな
って覚悟してた。一番星が見えた気がした。
痛みがいつまでもやってこなくて、恐る恐る目を開けると、一番星が目の前にいた。
帰ろうぜ、と言ってあいつらは去っていった。
わたしはすぐに庇ってくれた彼女の元へ向かう。
一歌ちゃんの背中は血で染まっていて、今もとめどなく流れている。
____ギュッ
一歌ちゃんは優しく抱きしめてくれた。
落ち着いたわたし達は教師にいじめのことを伝え、一件落着した。
いじめっ子の人たちは転校したらしい。
でも…それから誰も姿を見てないんだって。
不思議だよね。
____グサリ
絵名さんがこちらに手を伸ばしている。
そしてわたしのには大量の岩。
一気に昔の光景がフラッシュバックしてくる。
ああ、あの頃から変わってない。
だから……!!
もう、自分のせいで誰かが傷つくのは……
身体から光が漏れ出し、周囲を巻き込んで大きくなっていく。
キラッ_____ドコォォォォォォォォン!!!!!
_______バコォォォォォン!!!!!
_______バコォォォォォン!!!!!!
やがて施設は跡形もなく崩れた。
驚きと達成感で胸がいっぱいになった。それと同時にみんなに引かれるのではと不安になってくる。
どっと疲れが表れて倒れそうになった。
____ギュッ
それを彼女はあの時のように優しく抱きとめてくれた。
ああ、安心するなぁ…。
意識がどんどん遠のいていった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!