第8話

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2025/08/24 07:18 更新
第6話「声にならない想い」





会議室のモニターに、鮮やかな映像が映し出された。
全国ツアー決定の文字と、ファンの歓声を切り取った映像。


























(なまえ)
あなた
.....ツアー、だって











息をのむあなたの横で、メンバーたちが次々と声を上げる。


























ジフン
ジフン
まじで!?
ヨシ
ヨシ
 あなた!初のツアーやな!
















ヨシが隣で柔らかく笑いかける。
あなたはぎこちなくも笑顔を返した。

その横で、ハルトは口元だけで小さく笑いながら視線を逸らす。
――その日から、あなたの中で“もっと頑張らなきゃ”が強く根を張っていった。































朝は早く起きて軽く走り、決められたメニューだけを口にする。
昼はひたすらダンス練習、夜は深夜まで自主練習。

控室では、メンバーたちが小さな声で囁く。



















ジェヒョク
ジェヒョク
最近ちょっと痩せたね..
ジョンファン
ジョンファン
この前5時間くらいジムにいましたよ
ジフン
ジフン
やばいな…あんま寝てないやろ、あれ。
ヨシ
ヨシ
……でも言っても聞かへんやろ。














その心配を知ってか知らずか、あなたはただ黙々と練習を続けていた。


























その日も練習室には重い空気が漂っていた。
リズムに合わせたステップ。あなたの動きがわずかに遅れる。































ジフン
ジフン
ストップ。







曲が止まり、ジフンの低い声が響いた。















ジフン
ジフン
あなた、ちょっと休め。顔色悪いぞ。
(なまえ)
あなた
……大丈夫。もう一回通したい
ジフン
ジフン
大丈夫じゃないやろ。飯も食べてないし、寝れてもないやろ。
ジフン
ジフン
みんな知っとるんぞ。
(なまえ)
あなた
大丈夫。私はやれるから。








ジフンの目が険しくなる。














ジフン
ジフン
だから言ったやろ、休めって。女の子がこのペースで踊るのは無理やって。



























その言葉に、あなたの動きが止まった。






































(なまえ)
あなた
(あ、まただ...)
(なまえ)
あなた
……“女だから”って、何それ。





















あなたが言い返したのは初めてで、皆は驚きを隠せなかった。






























ジフン
ジフン
事実やろ! 無理して倒れたらどうするんや。誰が責任取るん。
(なまえ)
あなた
責任とかじゃない! 努力の話をしてるの! 私、ちゃんと“メンバー”として見てほしいだけなのに!
ジフン
ジフン
見てるから言ってんねん! 潰れられたら困んねん、俺ら――
(なまえ)
あなた
頑張っても頑張っても、“女だから”って妥協されて言われるの、もうやだよ…!
(なまえ)
あなた
ちゃんと“ひとりのメンバー”として認めてほしいのに……!
(なまえ)
あなた
私、ここにいる資格があるって証明したいだけなのに……!











声が震え、涙が滲む。




















ジフン
ジフン
……あなた、そういう意味じゃな――
(なまえ)
あなた
もういい!!






















叫ぶようにそう言い残し、足音を響かせて練習室を飛び出していく。
閉じられたドアの向こう、重い沈黙が落ちた。














































沈黙を破ったのはヨシだった。
低い声で、しかしはっきりと言う。




















ヨシ
ヨシ
ジフナ、気持ちはわかるけど言い方ってものがあるだろ。





















アサヒも静かに頷く。



















アサヒ
アサヒ
ヒョン。心配してるのは皆同じ気持ちだけど、あれじゃ伝わらない。













ハルトが短くため息を吐きながら、壁に背を預けた。


















ハルト
ハルト
あいつ、泣きながら出てったぞ。




























その言葉に、ジフンは視線を落とした。
手のひらで汗を乱暴に拭いながら、小さく舌打ちする。





















ジフン
ジフン
……わかってる。俺、やりすぎた。




















彼の声は震えていた。怒りではなく、後悔の色で。




























































冷たい夜風が肌を刺す。
足が止まるまで、どれくらい走ったのかもわからなかった。

息が上がり、肩で大きく呼吸しながら私は階段に腰を下ろした。



























練習室は地下にあるんだけど、2階と3階の間の階段は誰も来ない。





















(なまえ)
あなた
(ここもオッパに教えてもらった場所だな)
(なまえ)
あなた
(落ち着きたい時はここがいいって)






















頭の中で、ジフンの声が何度も反芻される。





















ジフン
ジフン
女の子がこのペースで踊るのは無理やって。


























その“女の子”という言葉が、胸の奥を何度も締めつけた。


























(なまえ)
あなた
……頑張っても、結局そうなんだ…





























視界が滲む。
悔し涙が頬を伝い落ちるけれど、拭うことさえできなかった。

本当は、ジフンが私のことを心配して言ってくれたのも分かってる。
無理してるのを見抜かれてたのも、誰よりも近くで見てくれてたのも知ってる。

それでも――あの言葉は、あまりにも悔しすぎた。
“守られる存在”じゃなく、同じ“メンバー”として認められたかっただけなのに。

なんで。
どうして。

ちゃんとみんなの“メンバー”になりたかっただけなのに。
頑張って、頑張って、やっとここまで来たのに。

それでも私は、“女だから”って線を引かれるんだ。

唇を噛み締め、うつむいたまま震える指先をぎゅっと握る。















































その時、背後から低い声がした。



























ハルト
ハルト
……ここにいたか。





















振り返ると、息を切らせたハルトが立っていた。

ハルトは無言のまま近づき、冷たいペットボトルを差し出した。




























ハルト
ハルト
飲め。






















あなたは一瞬、視線を逸らしたまま受け取る。
キャップを開ける手が震えているのを、ハルトは黙って見つめた。




































ハルト
ハルト
……悔しいよな。




























その一言で、あなたの目からまた涙が溢れた。
堪えても堪えても、止められない。




























ハルト
ハルト
でも、ヒョンもあなたを思って言ったんや。
ハルト
ハルト
.....まあ、言い方がうんこやっただけで。






















ハルトの言葉に思わず笑いそうになる。



























(なまえ)
あなた
(...ハルトはいつもこうやって笑わせてくれる)






















そう言いながら、ハルトはあなたの頭に大きな手を置く。
やさしく、ゆっくり、髪を撫でた。



























ハルト
ハルト
お前が誰より頑張ってんの、みんな知ってる。……俺も。

























その声は低く、静かで、それでいて真っ直ぐだった。


























ハルト
ハルト
1人で無理すんな。俺らがいる。一緒に頑張ればいい。頼ってくれればいい。
ハルト
ハルト
だから……無理すんな。無理して潰れたら、もう取り返せねぇから。

































あなたはただ、声を出さずに頷くことしかできなかった。
その隣で、ハルトは何も言わず、しばらく同じ夜風を感じながら隣に座り続けていた。
















































※更新遅くなりました( ; ; )
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝

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