夕食前の温泉タイム。広々とした露天風呂には蘭、佐藤、由衣、千速という豪華な顔ぶれが揃っていた。
彼女達の視線の先には、湯船の端っこで気持ちよさそうに目を細める霊那ちゃんの姿。
女子メンバーは事前に示し合わせ、霊那ちゃんに気付かれないようアヒルのおもちゃを流し始めた。
お湯の温かさにうっとりしていると、目の前の黄色い小さなアヒルがぷかぷかと横切る。
霊那ちゃんはそれをそっと手に取り、岩の上に置いた。
ちょこんと一羽。それを見つめて、霊那ちゃんは呟く。
その「おともたち」という言葉を合図に、女子メンバーが更にアヒルを投入する。
3個追加、合計4個
4個追加、合計8個
次々と流れてくるアヒル達。普通なら「なんでこんなに?」と驚くところだが、霊那ちゃんは一羽一羽を丁寧に並べていく。
5個追加、合計13個
6個追加、合計19個
どんどん増えるアヒル軍団。霊那ちゃんは真剣な表情で、落とさないように並べていく。その姿は、まるで小さな指揮官のよう。
そこへ、最後の一羽ーー他の子達より一回り大きな「親分アヒル」がゆらりと流れてきた。
霊那ちゃんは慎重に、その大きなアヒルを列の真ん中に置いた。
合計20個。湯船の縁に一列に並んだアヒル達を満足げに眺めて、霊那ちゃんは優しく微笑んだ。
そのあまりに純粋な優しさと、1個ずつ丁寧に並べる健気な姿に、物陰で見守っていた女子メンバーはノックアウト状態。
霊那ちゃんの「心の綺麗さ」が、温泉以上に大人達の体と心をポカポカに温めたのだった。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。