第27話

忘れていた宝物
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2026/01/24 12:57 更新

*しぅくりぃむの謝罪*

お待たせしまくって本当にごめんなさい!!!!!
「落書きぶち込み部屋」は捗っていたんですが、課題に追われ小説を書く時間がなくて…。
いや、言い訳です。
実際は内容を考えることができなくて安眠することしか頭になかっただけです。はい。すみません。

やっと、やっと今話で決戦を終わらせられる…(歓喜)
楽しかったよ、ありがとう。
しばらく書いてなかった所為か、語彙力低下してる気がする。それと案外序盤で書き方変わってるかも。
後半セリフが多いのは、ただ原作に忠実になった結果です。はしょっちゃダメなセリフが多すぎる。

ま、ここら辺でサボりやがったな?と思いながら見てくだされば…ははっ。(逃亡)
それでは今話もよろしくお願いします٩( ᐛ )وイェア


 最後の決戦が始まってから、兎耳山の猛攻は止まることなく。その繰り出される攻撃全てが梅宮を狙い、逆に梅宮の攻撃は躱され続けた。
チンピラ
兎耳山さん…ヤベェな…
チンピラ
…でもあんだけ当たってんのに、何で梅宮のやつ…ケロってしてんだ?

 確かな違和感に誰もが気づき始めた頃、その違和感に疑問を抱いた兎耳山は立ち止まり、首を傾げた。
兎耳山 丁子
あれー?おっかしーなー、ちゃんと当ててるはずなのに
梅宮 一
軽いんだよ、お前の拳は
兎耳山 丁子
……は?
梅宮 一
なぜだかわかるか?なにも背負ってねぇからだ
兎耳山 丁子
……ほんっと意味わかんない。軽いだかなんだか知らないけどさ…倒れるまでやれば同じでしょ
兎耳山 丁子
いやってほど浴びせてあげるよ

 足を払い、それにより梅宮がバランスを崩したところを隙と見て顎めがけて拳を振り上げる。誰から見ても、その打撃はモロ入った。
 今度こそ…いや、自分の拳は軽くなんかないとでも言うかのように兎耳山は口角を上げる。
梅宮 一
…だから、効かねぇって言ってんだろ!!

 しかし、梅宮が振り下ろした拳の方が、何十倍も重たかったようだ。
たった一発。それだけで簡単に兎耳山は床に顔面を強打した。
 誰もがその光景に冷や汗をかいた。
相手は"あの"兎耳山だ。今までどれだけのチームが兎耳山の手で潰されてきたか分からない。
 それを相手に、梅宮は怯まないどころか語りかけている。
兎耳山 丁子
あーもー…いったいなぁ………俺は絶対自由になるんだ
兎耳山 丁子
邪魔、しないで!!
梅宮 一
…お前の言うてっぺんってなんだ
兎耳山 丁子
楽しいってことだよ!

 また兎耳山が横から蹴りを入れる。
梅宮 一
じゃあ、お前の言う楽しいってのはなんだ
兎耳山 丁子
!?

 それを梅宮は余裕な表情で問いかける。
兎耳山 丁子
今みたいな強いやつとの喧嘩!!
梅宮 一
……そのわりには楽しそうに見えねぇが?

 淡々と言い放たれたその言葉に、兎耳山は苦虫を噛み潰したような顔をして梅宮を鋭く睨みつける。
梅宮 一
お前は"お前のこと"をなんにもわかっていない。だから満たされないし、たらればも言いたくなる
梅宮 一
そりゃしんどいよな…同情するよ

 誰だって、そんなことを言われては堪忍袋の尾が切れると言うものだ。
あなた
(まぁ、間違っちゃいないとは思うが)


梅宮 一
だがそれ以上に……そんな奴がてっぺんになっちまったチームに同情する…
梅宮 一
理由はなんであれ、てっぺんになったんだろ?だったら、下のもんにあんな顔…させてんじゃねぇ!!

 ギリギリまで引いた拳が、兎耳山の顔面にヒットする。あんなもの一般人が食らえば鼻の骨が粉々になってしまうだろう。
 それが鼻血で済んでしまうあたり、やはり兎耳山は化け物だ。

楡井 秋彦
オレ…風鈴にきて本当よかったです。あの人が俺たちのトップでよかったです



 楡井が、引き寄せられるように目の前に広がる光景を息を呑みながら見つめる。
誰だってそうなる。初めて梅宮の戦いを目の当たりにしたのなら尚更。

 梅宮の喧嘩は記憶に刻まれる。それは全てにおいて対話をするからだ。拳だけじゃなく、心で語り合う。
梅宮の喧嘩はそういう喧嘩だ。
兎耳山 丁子
あんな…顔?

 兎耳山の言葉が、感情が、記憶が、どんどん曖昧になっていく。
何かに急かされているような、押しつぶされそうになっているような、潤っていた土から水が抜けてカラカラになったような、どうにもならない状態。
梅宮 一
……
兎耳山 丁子
し…知らない、わかんない。うるさい、うるさい

 嗚呼、壊れる──
兎耳山 丁子
わかんない、知らない、うるさい、うるさい

 この空間全てに、兎耳山の叫びが響き渡る。
ぶちぶちと音を立てて引きちぎれる髪。諦めたような表情に、右目から溢れる涙。
兎耳山 丁子
いいや…梅ちゃんもいらない



兎耳山 丁子
全部、いらない…

 制御が効かなくなった兎耳山の攻撃を、梅宮はただ受け止めるだけになってしまった。
奇声のような叫びをあげながら、無我夢中に拳を、脚を振り回す兎耳山に周りは息を呑み、誰かは恐怖を覚えた。
十亀 条
ち…ちょーじ…
あなた
……

 重苦しい空気と、ピリつくような緊張感が同時に存在するその状況で、遂に梅宮が蹴り飛ばされ床に転がる。
 その上に跨って、絶え間なく殴打が浴びせられる。
チンピラ
お、おい…あれ大丈夫なのか?
チンピラ
いや…つーかよぉ…梅宮のやつ…………なんで、反撃しねーんだよ


十亀 条
(梅宮!?)
桜 遥
なにやってやがる!!100%負けねーなんて啖呵切ったくせにどういうつもりだ!!
杉下 京太郎
おい…黙って見てろ
桜 遥
…!?
あなた
桜 遥
あなた
信じろ

 "……信じてる"

自分が十亀と参加する前に、あなたが言ってくれた言葉を思い出し、桜はハッとする。

そして、ステージに向き直った。


梅宮 一
…兎耳山。すまん、お前を…追い詰めたいわけじゃないんだ…
梅宮 一
そこまで…切羽詰まってたんだな
兎耳山 丁子
う、うるさい!
梅宮 一
でも…自棄になって…全部壊しちまったら、これからもずっと…しんどいままだ
兎耳山 丁子
うるさいうるさい!うるさい!!

 もう我慢の限界だったんだろう。兎耳山は梅宮の言葉を止めるために、首に噛みついた。
ツーっと…噛みついた場所から血が流れ落ちる。
梅宮 一
…兎耳山、大丈夫だ……お前のなかにちゃんと答えはある

 くしゃっと梅宮が兎耳山の頭を撫でる。
それを振り払い、また「知らない」と梅宮を殴り、飛び退いた。
梅宮 一
ボウフウリンと獅子頭連が揉めた時のこと、覚えてるか…?
梅宮 一
結局は、勘違いだったなぁ
十亀 条
……




有馬
お前本当バカ強ぇな
鹿沼
ボクまた助けられちゃった…
チンピラ
俺も俺も!
チンピラ
ありがとな、助かったぜ!
兎耳山 丁子
えへへー、そう言われるとうれしーなぁ─

 仲間たちと会話する兎耳山の表情は、疲れを感じさせない笑顔で生き生きとしていた。
兎耳山 丁子
梅ちゃーん!!
兎耳山 丁子
最っ高に楽しかった!またやろーね!

 お互いが敵同士であり、先ほどまで拳を交えていたというのに。無邪気な笑顔で遠くから梅宮に手を振る兎耳山は、今とは大違いだ。

梅宮 一
あの時、お前の拳は重かったよ。今よりずっと
梅宮 一
あの時のお前はキラキラしてたよ。今よりずっと
梅宮 一
楽しそうに見えたよ。今よりずっと
梅宮 一
あの時お前の周りに何があった?お前の目には何が映っていた?

 ゆっくりと立ち上がった梅宮の背は、やはり大きかった。
一歩、一歩、兎耳山の方へ歩み寄る梅宮に怯えたような表情をして、「来るな」と抵抗をする。
それでも梅宮は怯まない。
兎耳山 丁子
!?

 梅宮の手が伸ばされる。
目を強く瞑った兎耳山が感じたのは、温かさだった。
梅宮 一
思い出せ、兎耳山。あの時見えていたものを…それがお前自身と、てっぺんに必要なものだ



十亀 条
(ありがとう…)
あなた
(………あ、)

梅宮 一
思い出せぇ!!兎耳山ぁ!!!

 梅宮が最後にしたのは、まさかの頭突き。
気を失うほどの頭突きをくらい、兎耳山は倒れた。


 ──暫く時間が経った。

兎耳山が意識を浮上させたとき、視界に飛び込んできたのは今にも泣きそうな十亀の表情。
兎耳山 丁子
あれ…亀ちゃん…なんで、そんな顔してんの?

 シィン…と静まり返るそこに、兎耳山の小さな呟きがこだまする。
兎耳山 丁子
あぁ…オレ、梅ちゃんに負けたんだ


兎耳山 丁子
亀ちゃん、オレ…昔の夢…見てたんだ
兎耳山 丁子
みんなが笑ってて、久しぶりにすっごく楽しい気分だった。それでオレ、なんか分かったんだ
兎耳山 丁子
みんなが楽しそうに笑ってれば、オレも楽しいんだって。だから、ね…笑って…?

 辛そうに、十亀は顔を顰めては「ごめん」と謝る。
兎耳山 丁子
……?
十亀 条
俺がちょーじを1人にした
十亀 条
ちょーじが、何に苦しんでるかわからないまま、みんなをちょーじから遠ざけた
十亀 条
俺がみんなを傷つけて嫌われることなんかより、ちょーじがみんなを傷つけて嫌われることが嫌だったら

十亀 条
俺の理想が崩れるのが、許せなかった

兎耳山 丁子
…理想?
十亀 条
ちょーじがみんなに愛されて、俺はそれを担いでる。だからあの日、間違ってると知りながら目を逸らした

 十亀の言葉の裏には、"あの日"の後悔が垣間見えていた。目標を見失い、自由を求め弱い仲間を捨てることを選んだ丁子を、本当は殴ってでも止めるべきだったんだと。立ち向かうべきだったと。
十亀 条
獅子頭連のやつなら、己を貫くためにぶつからなきゃいけなかった
十亀 条
…………戦わなくてごめん、話をしなくてごめん、答えを一緒に探さないでごめん、1人にしてごめん

 また、十亀の表情が苦しそうに歪んでいく。
十亀 条
そのせいでちょーじに必要なものを、俺は取り上げてしまった
十亀 条
ごめん…ごめんちょーじ

 何度も謝り、深く頭を下げる。
兎耳山 丁子
亀ちゃん…俺ね、頭取になったら誰よりも楽しくなれるって、本当に信じてたんだ
兎耳山 丁子
すっごいことが起きるんだろうなって、ドキドキしてた

 ──でもいざなってみたら、
兎耳山 丁子
なにもなかった
兎耳山 丁子
なにも感じなかった

 ──こわかった…
兎耳山 丁子
空っぽになった気がして、次はどこに行けばいいかも分からなくて
兎耳山 丁子
何をしても何も感じなくて、虚しくなるばかりで。なんとかしなきゃ、何が行けないんだってもがいてもがいてもがいてるうちに、なにも見えなくなった
兎耳山 丁子
それで、みんなのせいにした。亀ちゃんが取ったんじゃないよ、俺が最初にいらないって言ったんじゃん

 今度は、丁子が悲しそうな表情をする。
諦めと、寂しさが残っているような表情だった。
兎耳山 丁子
そうだよ…オレは、みんなでバカ笑いしてたあの頃…楽しかったんだ
兎耳山 丁子
オレはとっくに自由だったんだ

 それに気づかず、自由だと感じていたあの頃の自分を、自分で壊したと言う丁子に「ちがう」と伝えようとした十亀を、丁子は制す。
兎耳山 丁子
梅ちゃんがいなかったら、今ごろなんにもなくなってたね。梅ちゃんに言われたんだ、あんな顔させるなって
兎耳山 丁子
オレが見えてなかっただけで、きっとずっと前から、そんな顔してたんだよね

 オレが、させてたんだよね。
兎耳山 丁子
それでもオレとみんなを繋ぎ止めてくれてたんだね。ありがとう、守ってくれて

 ごめん、ごめんと何度も謝る姿が痛々しいとすら思えた。
ただ、梅宮のおかげで兎耳山が自分を取り戻せたというのは事実。
チンピラ
俺たちこれから、どうなるんだ?



兎耳山 丁子
ありがとう亀ちゃん、もう大丈夫だよ。最後くらいは"けじめ"つけるね

 そう言った兎耳山は、梅宮に向き合うなり獅子頭連の証であるスカジャンを脱いだ。
兎耳山 丁子
オレは梅ちゃんに負けた、だから獅子頭連を抜ける
兎耳山 丁子
獅子頭連は梅ちゃんのものだ。みんなを、よろしくお願いします

 兎耳山の意思を受け止め、兎耳山に続き十亀もスカジャンを脱ごうとしたが、それよりも梅宮が本当に嫌そうな顔をしてノーサンキューをしたことでその場が一瞬固まった。
兎耳山 丁子
……え?
あなた
はぁ…
梅宮 一
お前が勝手にチームを賭けた勝負にしてただけで、オレはさらさらそんなつもりなかったし
梅宮 一
チームでかくするとか全く興味ないし、上だ下だとかめんどくさい

 …まぁ、そりゃそうだろうな。
兎耳山 丁子
で…でも…
梅宮 一
んー…あ、じゃあよ。今日から俺たち友達ってことで!

 解散!解散!と会場の全員に向かって手を叩く梅宮の口から放たれた、とんでも発言にあなたは折れてない方の手でこめかみを押さえる。
 梅宮だから、という理由で片付けられてしまうことが非常に解せんが、獅子頭連の頭取と副頭取がそれを認めてた以上何も言うことはない。

 こうして、獅子頭連"対"風鈴のタイマンは、ボウフウリンの全勝で幕を閉じた。

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