結局あれから3ヶ月が経ったが、あれから特に何も進展することは無かった。
大会では成瀬西に負けてしまったし、文化祭は特に何事もなく無難に終わらせたし、夏休みは就職組の俺にとってはごくごく普通に遊べたし、"If story"幻の第8話は見つからないし、そもそもあのサイト、"Heavennovel"にはアクセスさえ出来ない。
単純に3ヶ月、モヤモヤしながらも平凡な日々を過ごしていただけだった。
先生の話が退屈であまり頭に入ってこない。
俺はあのルーズリーフを読み返す。
突然俺の前に現れ、この3ヶ月で何度も読んだ、"If story"を。
先生に怒られたところで結局話を聞く気にはなれなかった。
3ヶ月動きがなかった今でも、未だに気になる。
この小説がなぜ俺にばかり過干渉してくるのか、対して俺も何故これを衝動的に読みたくなるのか、そもそも作者は誰なのか…。
俺はあるものを発見してしまった。
ルーズリーフの上側…"第8話"とだけ書かれたページを1枚だけめくったところの上側に小さな紙の不揃いな形の欠片が数枚挟まっていた。
しかしこれ…もしかして…
先生に怒られてしまった。
続きは放課後にするか。
放課後、いつものように部活が始まった。
特に何も変わることのない、ありふれた風景。
悪いな角田、俺は今回ばかりは澄香に全面的に賛成だ。
どうやらこれで次世代のことについては心配する必要は無さそうだ。
これで俺も心置き無く部活を終えることが出来る。
俺含め全員が拍手をする。
頑張れよ伊沢さん。
"残れ"だと。
この女は突然そういうことを言ってくるからこっちとしても対処の仕様がない。
まあ今日ばかりは従うほか無さそうだ。
そして俺と澄香以外の全員が帰った後、俺は澄香に改めて話しかけた。
澄香は俺にスマホの通知欄を見せてきた。
そこに書いてあった言葉は…
『Heavennovel "If story"の8話が更新されました!』


















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!