第9話

閑話 友人を探して
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2025/12/16 13:36 更新
大江 知世
大江 知世
それで、潰れた喫茶店の場所に新しい本屋さんができたんです。
九条 玲衣
九条 玲衣
そうなんだ。
ある日の休憩時間。
小塚 梅子
小塚 梅子
………。
私は、九条くんの立ち去る背中を見送りながら眉を顰めた。
小塚 梅子
小塚 梅子
知世って九条くんのこと好きなの?
大江 知世
大江 知世
ひゃえっ?!
小塚 梅子
小塚 梅子
趣味悪いわねぇ…。
大江 知世
大江 知世
私まだ何も言ってないよ梅子ちゃん!
なんで分かったの?!
新年度になりたての初対面の頃こそ私は知世を嫌っていたが、今では私たちは先輩後輩の仲を超えて友人へなっていた。
共に過ごすうちに分かったことだが、知世は素直で感情が表に出やすい。彼女の好意は傍目から見ても分かりやすかった。
小塚 梅子
小塚 梅子
やめときなさいよ、あんな胡散臭い男。
知世だって知ってるんでしょ?
九条くんと付き合った女の子が軒並み失踪してる話。
大江 知世
大江 知世
偶然だよ……!
みんなシリアルキラーだとか反社と繋がりがあるとか美人局の男版だとか好き勝手噂して…!
九条先輩はそんな人じゃないもん!
小塚 梅子
小塚 梅子
最後のは知らなかったわ...。
知世の恋路は応援したいところだが、いかんせん相手が悪い。
どう止めようか、と私が悩んでいると知世がにこにこと私の顔を覗きこんできた。
大江 知世
大江 知世
問題です!梅子ちゃん!
今日はなんの日でしょうかー?
小塚 梅子
小塚 梅子
2月14.....ま、まさか........。
大江 知世
大江 知世
そう!バレンタインー!
大江 知世
大江 知世
昼休みに九条先輩にチョコを渡して告白しようと思ってるんだ。
もちろん、梅子ちゃんと話した二人で交換する分とは別で持ってきてるから大丈夫だよ。

小塚 梅子
小塚 梅子
ぜっっったいにやめなさい!!!!!!

小塚 梅子
小塚 梅子
それで危険な目にあったらどうするの?!
行方不明になっても知らないわよ!
大江 知世
大江 知世
だから、九条先輩はそんな人じゃないよ!!
九条先輩を悪いように言わないで!
小塚 梅子
小塚 梅子
じゃあなんで付き合った子が軒並み行方不明になってるのよ!
九条くんが入社したときから私が知ってるだけで7人よ!おかしいよ!
大江 知世
大江 知世
もう!さっきからなんなの?!
小塚 梅子
小塚 梅子
知世に男を見る目はないって言ってるのよ!
大江 知世
大江 知世
なによ!梅子ちゃんだって変な男と付き合ってたくせに!
....田沼のことだ。
あれから時間も経って付きまとわれなくはなったものの、いまだに私の心に根深い傷を残していた。
小塚 梅子
小塚 梅子
今関係ないでしょ!
もう知らない!好きにしなさいよ!!
視界の端で、はっと気付いて申し訳なさそうな顔で口を開こうとしていた知世が見えたが、私は振り切るように走り去った。
あんなやつ、放っておけばいい。
なのに、なんで私はもともと知世に渡すつもりだったチョコを九条くんに渡したんだろう。
小塚 梅子
小塚 梅子
あ、あの……九条くん!
九条 玲衣
九条 玲衣
小塚さん
九条 玲衣
九条 玲衣
どうしたの?
小塚 梅子
小塚 梅子
こ、これ……!バレンタインだから…!
.....決まっている。
私は結局知世のことを見捨てられなかったんだ。
大江 知世
大江 知世
........。
私は休憩室を足早に立ち去った。
知世は入口で立ち尽くしていたからきっと私が九条くんにチョコを渡したのを見たんだろう。
友だち想いで優しい知世は、これで私のあとに九条くんにチョコを渡して告白をすることはない。よかった。
九条 玲衣
九条 玲衣
さっきはチョコありがとう。
小塚さん、好きだよ。付き合おう。
小塚 梅子
小塚 梅子
うん。よろしくね。
昼休みも終わりかけの頃、私のもとを訪れた彼の告白がきっかけで私は九条くんと恋人同士になった。

これで知世の身は大丈夫。そう思っていた。



......けれど、
その日、知世は行方不明になった。

きっと、私はあの時立ち去らずに知世の動向をきちんと見ておくべきだった。
知世は実家住みだ。
出勤してから帰ってこない知世を心配した家族は、その日のうちに私に行方を問う連絡をし、私はそこで知世の失踪を知った。
家族は翌日の15日に警察に届け出た。

15日から、九条くんは会社に来なくなった。
どうやら14日の退勤後、交通事故にあったらしい。
小塚 梅子
小塚 梅子
おそらく知世は私が休憩室から立ち去ったあと、九条くんに告白をして2人は付き合うことになったんだ。
小塚 梅子
小塚 梅子
退勤後2人はどこかで会って、そこで何かがあって、知世は失踪したんだと思う。
小塚 梅子
小塚 梅子
.....九条くんの交通事故も知世の失踪が関わっている可能性が高そう。
それから、1週間後。九条くんが目を覚ましたという連絡がきた。

連絡が来てから3日後、今日は九条くんが久しぶりに出勤する日。
私はエントランスで彼を待ち伏せていた。
小塚 梅子
小塚 梅子
退勤してからの知世の行方は分かってないみたい。防犯カメラに全然写っていないそうだ。
小塚 梅子
小塚 梅子
警察に九条くんが怪しいと訴えたけれど、2人が付き合っていたのが推測の域を出ていないしまともに取り合ってくれなかった....。
九条くんが知世の失踪に関わっている可能性が高いことは、誰にも伝えられていなかった。
2人が恋人というのは推測だし、九条くんは周囲からの評判がいいから信じてもらいにくいだろう。下手に他人に話すことで私の疑念が九条くんへと伝わってしまい警戒されては意味もない。

私独りで、知世の行方を追うしかない....!
小塚 梅子
小塚 梅子
恋人と言う立場を利用して、九条くんから知世の行方を探すための手がかりを聞き出す.....!
危険なんて承知の上だ。知世を諦める気なんかさらさらない。

エントランスへと九条くんが入ってきたのを見つける。
傍らの三崎朱夏と談笑している。

彼らが一緒に出勤するほど仲が良いとは知らなかったのでなんだか意外だ。
小塚 梅子
小塚 梅子
九条くん!
私は九条くんのもとへと足を踏み出した。
作者
作者
✨わくわく☆あとがきコーナー!!✨
作者
作者
今話はたくさん伏線回収がありました!
小塚視点での過去の出来事と、彼女の思惑が明かされたね!
作者
作者
小塚の思惑を知った上で今までの彼女の言動を見返すと面白いかなと思います!!
作者
作者
時系列や伏線なんかは完結後にまとめて解説するつもりだから、よく分からなかった人はそれを見てね!!
作者
作者
ここまで読んでくれてありがとー!!
いいねやお気に入りしてくれると嬉しいな!

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