前の話
一覧へ
次の話

第1話

1
2,122
2026/01/08 14:01 更新







  ガラス張りのオフィスでカップに口をつける
  コーヒーはすでに冷めていた

  壁一面のスクリーンには
  世界中の支社データが並んでいる






(なまえ)
あなた
 疲れた… 






  昨日は一日中数字と向き合っていた
  目と頭が限界で悲鳴を上げている






  ”このグループの繁栄のために”
  幼い頃から祖父や両親にそう教育されてきた

  「社長」という肩書きをとってしまえば
  私は一体何者なのかわからなくなりそうだった








  それくらい、私には何もない

  ガラス越しの街は主張の強い建物が
  綺麗に整えられすぎていて苦手だった







  その時、控えめなノックの後で
  ドアが開いた







jw
jw
 失礼します。社長 






  秘書のジョンウォンが入ってくる





jw
jw
 今日の予定です 
 午前9時からミーティング 
jw
jw
 その後10時に取締役会
 午後は雑誌の撮影があり 
jw
jw
 夜は取引先との会食が一件 
 それから





  彼の声が滑らかに流れていく
  今日も忙しそうだな





  報告を終えたジョンウォンが
  少し間を置いて私をみる






jw
jw
 社長、よく眠られましたか? 
(なまえ)
あなた
 え? 






  思わず顔を上げると
  彼は目を逸らさずに私を見ていた






jw
jw
 だいぶお疲れのようです 
(なまえ)
あなた
 まあ平気、ちゃんと寝たよ 





  そうですか、とジョンウォンは小さく頷いて
  再びドアの向こうへ消えていった

  鏡の前に立つ






  目の下にうっすらと影
  寝不足を隠せないクマがあった

  ポーチからコンシーラーを取り出して
  完璧に消えるようにクマを隠した





  不満はないけれど、
  たまに息苦しさを感じる時がある

  同期と楽しそうに喋りながら仕事をする
  社員の女の子を見て、少し羨ましかった







プリ小説オーディオドラマ