街の中を歩きながら外の風に当たっていると酔いも覚めてきた。
まさか水だと思っていた物がお酒だった、なんてね…普通気づくと思ったんだけど…美味しいお酒だったし帰りにお土産で買って帰ろうかな
そう言えばリノって酔っ払ったらどうなるんだろう?ジニと同じくらい酔っ払ったりして?
勝手に色々考えていると、古い家の前で花に水やりをしていた50代くらいの女性が私の事を呼び止めた。
「もしかしてあなた様ですか⁉︎」
「はい…」
「やはりそうでしたか。お久しぶりです」
その女性は私の手を握ると微笑んだ。誰か分からず後退りすると女性は自己紹介を始めた。
「お嬢様はお忘れかもしれませんが、昔お嬢様がここの街に住んでいらっしゃった時に隣の家だった者です。お嬢様のお母様も隣国に行ったのでもう会えないと思っていましたが…」
「ええ…」
「今日はお仕事で?」
「まあそんな感じです…」
「さすがお嬢様。昔から優秀でしたけどもう宮廷でお仕事もなさっているのね」
「はい…」
昔の知り合いとは言えちょっと食い気味な気もするのは気のせいかな…でも、この人ならソアさんの居場所を知っているかも
「そういえば私の母は隣国のどこにいらっしゃるかご存知ですか?」
「ごめんなさい。そこまで詳しくは分からないです。引っ越されてからは知り合いを通じてしか連絡がないので…あ、でもお嬢様の弟さんが最近宮廷に入ったというお話は知り合いから聞きましたよ」
「私の弟が宮廷に…」
「お嬢様はお聞きになっていないんですか?」
「いえ…最近は色々忙しくて…手紙も読めてないです…」
怪しまれそうなのでなんとか誤魔化す。
「宮廷の中は色々と大変ですものね。こんな話していると久しぶりにソアさんとジョンイン君に会いたくなっちゃった。久しぶりに昔の話もしてみたいわ」
「すいません…今…なんて…」
「いやー、ジョンイン君とソアさんに会いたいなって。あなた様もそうお思いでしょう?家族に会えないのは寂しいものね」
「ええ…」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。