その夜、ほとんど眠れなかった。
天井を見つめながら、
何度も同じ言葉が頭を回る。
――協力するふりをするだけだ。
本気で加担するわけじゃない。
あなたを守るためだ。
言い訳だってわかってる。
それでも考えないと心が壊れそうだった。
翌日の放課後。
俺はわざと人目につく中庭を避けて、
裏の階段を使った。
待っていたみたいにこあちゃんが現れる。
昨日と同じ、何も知らない顔。
まるで、最初から
それを見越していたみたいだった。
反吐が出そうだった。
指を絡めて穏やかな声をしているが
心の中はどす黒いんだろう。
――違う。
俺は、そんな役を演じたいわけじゃない。
あまりに軽い言い方だった。
別れ際、こあちゃんは振り返って言った。
脅し文句すら、笑顔で言う。
階段を降りながら、
俺は歯を食いしばった。
――守るためだ。
そう思わなきゃ、立っていられなかった。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!