まさに青天の霹靂だった。
『『ウォヌのこと考えないで』』なんて。
確かに、何回かウォヌの顔がよぎったことはあったけど、あいつが好きとかは、思ってなかったし…。大体顔には出てないはずなのに。
『朝から、頭に浮かんでたでしょ?時々、どっかで見たことある顔になって、それがウォヌと居る時の顔だったから。』
気づかなかった。そんな顔してたんだ、わたし。信じられないけど、間違いではなくて、彼を傷つけた。
「…ごめん、ジュンくん。わたし、」
『あ、謝んないでよー。○○ちゃんがウォヌのこと好きなのは知ってるから』
ん…?
「…別に好きじゃないよ?」
『好きだよ、○○ちゃんは。気づいてないだけで。完全に恋する乙女だったもん、ウォヌになんか言われたりした?』
この人にはなんでもお見通しだったみたい。好きではないけど、こないだのことが頭から離れないのは確かだった。とりあえず話してみると、
『ずるいよなー、普通にかっこいいもんなー。惚れて当たり前だなー。』
顔を覆いながら、空を仰ぐ。ジュンくんの方がずっと魅力的なのに、悔しがっちゃうんだ。そんな所も愛おしくて。
「でも、人のことちゃんと考えられるジュンくんもかっこいいよ?」
『だめ。今それいらない。あいつに見向きもしないくらいかっこよくないと、意味ないじゃん。』
じっと私を見つめて宣言した。その顔は傾きかけた太陽の光を一身に受け止めて、輝きを増している。
『最後、きついの一個乗って帰ろっか!!』
いつもと変わらない、キラッキラの笑顔で誘われる。その内容は心穏やかなものじゃないけど…なかなか来れない夢の国。どぎついアトラクションで締めることにした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。