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第60話

『屋上ランチ』 後編
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2025/12/29 00:02 更新
相互さん限定公開だった『視えるので』という小説

1週間限定で全体公開にしたのでぜひご覧ください

好評だったらそのまま全体公開を続けるかも?

ころんが変に集会の話を持ち出したがために、重々しい雰囲気が流れる
何か、この重苦しい空気を吹き飛ばせるような、楽しい話題はないだろうか。


莉犬の曇った表情を、少しでも明るくしたい。


屋上には、穏やかな春の風が吹いている、


きれいな桜の花びらをヒントに、ころんはあることを思いついた
ねぇ莉犬くん
もしよかったら、今度の日曜日、どこか出かけない?
ころんがそう提案すると、莉犬は少し驚いたように、目を丸くした先程までうつむいていた顔を上げ、ころんの目をじっと見つめている


その瞳は、まだ不安の色がのこっているものの、どこか希望の光も宿っているようだった
え、どこに…?
んー…どこがいいかな
猫カフェとか?
ころんは矢継ぎ早に提案した。


莉犬の好きなものをたくさん並べて、少しでも楽しい気持ちになってほしかった。


猫カフェの話が出ると、莉犬の表情が、少しだけ和らいだように見えた。
猫カフェかぁ…いいな、行ってみたいかも
莉犬はそう言って、小さく微笑んだ。
まじ?
っしゃ!僕もずっと行ってみたかったんだよね〜
屋上には相変わらず、暖かい春の風が吹いている。


その風は、二人の間を優しく彩っていた




昼休みの終わりのチャイムが、何処かで聞こえた
ありがとう、ころちゃん
じゃ、楽しみにしてるわ
莉犬はそう言うと、持っていた弁当箱を丁寧に閉じた


ころんもそれに続き、残りのパンを口のなかに詰め込む




澄み切った青空に、真っ白な雲がゆっくりと流れていく



屋上の片隅に咲く桜は、春の風に吹かれ、静かに揺れていた

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