第53話

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2026/01/31 00:32 更新

 __ 僕と苑の両親は、本当に優しくて、暖かかった。













 仲のいい、家族だった。
 父さんは僕に、母さんは苑に、
 なんとなくだけど性格が似ていた。

 いや、まぁ、正しくは僕らが似たんだけど…、
 ともかく、すごくにぎやかだった。


 父さんは優しくて、色んなものを買ってくれた。
 「母さんには内緒だよ」って、お菓子買ってくれて。
 それでバレて、母さんに「甘すぎ!」って怒られて。
 しかも、恐る恐る「…お菓子だけに、?」だなんて
 聞いちゃって。あの時の母さんの顔、凄かったな…、


 母さんは活発な人だったからさ、
 みんなでよく旅行とかに行ったりもして。
 車は母さんが運転してたから、
 途中でたくさん寄り道して。
 記念写真撮ったり、お土産買ったり、はしゃいで。

 …楽しかったなぁ。

















 でも、それは10年前に終わってしまった。
 僕がまだ7歳で、苑がまだ4歳の時だった。











 






 その日、母さんと父さんは、二人で出かけていた。
 結婚記念日だったらしい。

 僕らは祖父母の家に預けられ、遊んでいた。
 二人には思いっきり楽しんでほしかったから、
 僕は笑顔で手を振った。苑も、笑顔だった。























 次に両親に会った時、彼らは息をしていなかった。













_木曾路 苑@キソジ エン_
木曾路 苑キソジ エン
に…ぃ、さ……ッ
_木曾路 禅@キソジ ゼン_
木曾路 禅キソジ ゼン
とぉさん…、?かぁ…さん…、!!


 幼かった僕らには、重すぎた出来事だった。

 原因はひき逃げ。
 暴走したトラックに突っ込まれて、即死だそうだ。
 今思えば、長く苦しむことがなかったことだけは、
 救いだったのかもしれない。

 理解が全く追いつかなかった。
 信じたくなかった。信じられなかった。

 けれど、お医者さんやおばあちゃんとおじいちゃん、
 親戚の人たち、近所の人たちの雰囲気を見て、
 …あぁ、信じるしかないんだなって、思った。







 その後、僕らは祖父母の元で暮らした。
 苑はその時、まだ小さかったから、
 両親のことはあまり覚えていないらしい。

 だから僕は、たくさん2人の話をした。
 自分も忘れることがないように。
 苑が、あの暖かさを無かったことにしないように。















 僕にとって、苑はたった一人の家族で。
 何よりも宝物で、絶対に失いたくなくって。
 何がなんでも守りたかった。

 世界中が敵になっても、苑の全てを受け入れるし、
 苑が笑ってくれれば、他に何もいらないし。







 苑が死ぬほど僕のことを嫌いになったとしても、
 愛を贈るよ。



















_木曽路 禅@キソジ ゼン_
木曽路 禅キソジ ゼン
…あぁ、それなのになぁ…っ、
_木曽路 禅@キソジ ゼン_
木曽路 禅キソジ ゼン
苑だけは、苑だけは脱落して欲しくないのに…、だから、答えないとなのに…っ、





_木曽路 禅@キソジ ゼン_
木曽路 禅キソジ ゼン
僕はこの質問に、答えられないよ…っ、!

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