結真「大丈夫か?」
結夢「いだぁ、」
生理中の私。
今回は生理痛がひどい。
リビングの絨毯の上でまるまる。
痛すぎる。
結真「珍しいな、生理痛酷いの」
結真くんはキッチンから歩いてきて、コトンとマグカップを2つテーブルに置く。
結夢「んー、」
結真「暖かいの飲みな」
私はムクっと起き上がる。
結真くんはココアを私に渡す。
結夢「ありがと」
美味しい。
甘いココア。
結真「イライラしてるでしょ」
結真くんは私を見る。
クールな顔。
結夢「してないし」
私はムッとする。
イライラしてるの、しょうがないじゃん。
わざわざ聞く必要ないじゃん。
結真「ごめん、聞き方悪かった」
結真「おいで」
結真くんは両手を広げて言う。
結夢「や」
ちょっとムカついたから意地を張る。
私は目を逸らして飲みかけのマグカップを机に置く。
結真くんは私の手をぎゅっと握って引っ張った。
グラッと体が傾く。
結真くんにトンっとぶつかる。
結真「あっためたら楽になる?」
結真くんは私を優しく抱きしめる。
結夢「もしかして、調べた?」
結真「...調べてない」
その間は調べたんだね。
結夢「ふふ」
結真「何笑ってんだよ」
可愛いな。
好きって気持ちで溢れる。
結夢「好きって、伝わればいいのに」
結真「十分伝わってる」
結真くんが優しく笑う声が聞こえる。
いい匂いと、暖かさに眠くなる。
幸せに包まれる。
〜〜
目が覚めて起き上がると、結真くんがソファで足を組んで座っていた。
結真「起きた」
結真くんはクールな顔で見る。
掛けられていた毛布をとって上半身を起こす。
結夢「ふわあ、おはよう」
あくびをしながら言う。
結真「ん、もう6時だよ」
結夢「え、そんな寝てた」
確か2時くらいに結真くんにぎゅーされてた。
爆睡したんだ。
結真「何食べたい?俺作るよ」
結夢「ありがとう、ハンバーグ食べたい」
結真くんは立ち上がってキッチンに行く。
私も立ち上がってトイレに行く。
そういえば、トイレの汚物入れいっぱいだ。
捨てとかなきゃ。
汚物入れの蓋を開ける。
結夢「へ、ない」
たくさん入ってたのに、ひとつも無い。
綺麗になってる。
トイレを済ませて、手を洗う。
パタパタ走って結真くんのところに行く。
結夢「片付けてくれたの?」
結真くんは優しく笑う。
結夢「ありがとう、汚いのに」
結真「汚くないだろ」
結真くんは優しく言って私を見る。
結夢「うああ、大好き」
私は結真くんに抱きつく。
結真「ちょ、手ベタベタなんだけど」
ハンバーグを作っていた結真くんの手は汚れてる。
結夢「好き」
結真「わかったから」
結夢「もっと伝わればいいのに」
結真「伝わってる、たくさん」
結真くんは私に優しくキスをする。
世界一の私の彼氏。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。