それからみんなが帰ってくるまで
ゲームをしたり喋ったりして4人で過ごした
みんながばらばらと帰ってくるにつれて
私たちは部屋へと戻った
私はクローゼットの中から
ここに来た時に持っていた鞄を出して
その中に荷物を入れた
「・・・、入り切らない」
その荷物を見て涙が出てくる
持ち物が増えるくらい
宝物がいっぱいになってしまった
置いていきたくないから
もうひとつ大きな鞄を出して
そこに入れていった
机の上やベットの上のものはそのままにしておいた
バレたらきっと離してくれないもん
そっと部屋の電気を消して下におりる
「涼太、なんか手伝う?」
涼太「今日は大丈夫だよ。ありがとう」
「わかった」
手持ち無沙汰な私はそっとリビングを覗いた
「康二くん」
康二「お、あなたやん。くる?」
ソファーの隣に座って一緒にテレビを見た
テレビの向こうでは関西の特集番組
「そういえば康二くんって関西弁だよね」
そう言うと康二くんは嬉しそうに笑って
康二「この仕事するために最近上京してきてん」
と言った
何かが私の胸にぐさりと刺さった気がした
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。