第5話

チョンウォヌへの配達
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2021/01/16 21:25
日曜日のお昼、ウォヌ宛に宅配便が届いた。
少し重たいダンボール。

玄関で受け取り、両手で抱えてウォヌの部屋へ運ぶ。


コンコンとノックをするけれど、返事は一向に聞こえない。
あなた
いないのかな?

そっとドアを開けると、ウォヌの横顔。真顔で目の前のパソコンを睨んでいる。

いました。居留守されていました。

あなた
荷物、届いたよ…
チラッとこっちをみて、再びパソコンに集中するウォヌ。

完全に無視。
あなた
置いときまーす。
返事を貰うのは諦めて、ドアの近くにダンボールをそっと置いて部屋を出る。
あなた
え、もう帰ってくるの?
スマホが鳴ったかと思うと、スニョンからのメッセージ。

スニョン含め、出かけていた数人が帰ってくるらしく、ご飯を買ってくるのでみんなで食べよう、とのこと。


ウォヌも知ってるのかな…まぁいいか…
ウォヌ
ふぁーーーー


無視されるの嫌だから話しかけに行きたくないなぁ、と思っていると、ウォヌが大欠伸をしながら部屋から出てきた。


そのまま無言でソファに座る。
 

見つめる私。

スマホを見るウォヌ。


ウォヌ
ふはは、あなたー、聞いた?
あなた
え?
急に笑い出したかと思うと、笑顔でこちらを見つめるウォヌの姿。

訳がわからず、ハテナマークを浮かべてウォヌを見つめる。
ウォヌ
あいつら、渋滞に巻き込まれて昼飯全部車の中で食うらしいよ。
あなた
あ、えー!

その話にもびっくりだけど、さっきの宅配便の時のウォヌの無視が、どうやら意図的でないことにさらに驚きを隠せない私。

ニコニコと、いや、ニヤニヤと携帯を見つめるウォヌを、ただただ見守る。



ウォヌ
なにかデリバリー頼もうか。何が良い?
あなた
え、いいよ、作るよ?
ウォヌ
2人だし良いよ、ほら、好きなの言って。
あなた
えっと、…トンカツ?
ウォヌ
ふはは、トンカツー?おー、がっつり。いいよ、じゃあ俺もそれにする。
あなた
え、ありがとう。
ウォヌ
ん。部屋戻るから、届いたら呼んで。一緒に食べよう。

ムクッと立ち上がり、低い声でそう呟くと、ゆっくり部屋に戻っていくウォヌ。

呼んで、また無視されるんじゃないかと、後ろ姿を見送る私。


ウォヌ
大丈夫、今度は無視しないから。
あなた
う、うわ!やっぱりさっきの無視だったんだ!

振り向いて、ははは、と乾いた笑い声を聞かせて、彼は巣へ戻っていった。


呼びません、絶対に。


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