「あなた、学校は?」
『まだ先です。教科書も届いてないし…』
「ふーん。
じゃあそれまではずっとここに居るんだな!」
『まぁ…。学校始まったら空けますけど』
「留守番は任せてな」
『何されるかわかんないので安心出来ないですね』
「はぁ〜…。あ、でも初日は着いてくから!学校!」
『…なんでですか???』
「心配だからね!
学校に危ないヤツがいないか確認しないと。」
『あなたが1番危なそうですけど』
「失礼だな〜!!
妖怪の中には人間に化けて過ごすやつもいるんだよ
害がなければ別に気にしなくていいけど、
悪い妖怪も沢山いるからな」
悪い妖怪…と聞いて、
帰り道出会った気持ち悪い妖怪を思い出す。
あんなやつが学校に…?そう考えるだけ悪寒がした。
『……森で出会ったようなやつですか?』
「あんな低級妖怪にそんな能力無いよ。
いい?人に化けれるってことは、
相当強い妖怪だからな。気を抜くなよ」
『そんなこと言われてもわかんないですよ』
「まぁ、俺が教えてあげるから。危ないヤツは」
『ていうか、学校は関係者以外入れないですよ?
追い返されると思いますけど…』
「さっき言っただろ、視える人にしか視えないんだよ」
『あぁ…』
そう言われて少し安心したと共に、
もう私は“普通”に戻れないんだと絶望した。
もう…“普通”の日常には戻れない…
「…あなたちゃん、明日また俺の神社に行こう」
『さっき行ったところですか?』
「そう。基本的にはあそこが俺の居住地だから。
俺以外にも頼もしい仲間がいるから、紹介させてよ」
『…』
「そんな心配しなくても、
連れて帰ったりなんてしないよ。」
『分かりました…。』
「すぐ仲良くなれると思うよ!
多分明日は疲れるだろうから、
今日は早く寝ような。」
『何させる気ですか…!!』
「テンション高いやつがいるんだよ!
多分付き合ってたらすぐ疲れちゃうと思う」
『愉快な方なんですね』
「愉快な“方”っていうか…妖怪だけどね」
『やっぱそうですよね…』
明日が来るのが嫌になってきた。寝たくない。
ていうか…あれ?
『神社、帰らないんですか?』
「なんで?」
『なんでって…居住地って、』
「別に引越しくらい人間だってするだろ?」
『…寝る場所ないですよ?』
「ん?布団あるじゃん。」
『これは私が寝る布団です』
「うん、一緒に寝よ?」
『嫌ですよ!!』
「そんなに拒否するほど!?ひどい!」
『ひどいって…!初対面じゃないですか!』
「俺にとっては初対面じゃないもん!」
『私にとっては初対面です!
隣で寝られたら緊張して体が休まらないですよ』
「…それは…良くないか…人間は弱いし…」
言葉の節々から、人外感を感じる。
まぁ人外なんだけど…。
一応納得してくれたみたいで、
私には見えないところで寝てくれるらしい。良かった。
『……見えない所ってどこですか』
「……見えないところは見えないところだよ」
『姿消して隣で寝るとか言わないですよね?』
「………」
『………』
「もー!!分かったよ!隣の部屋で寝るから!ね!」
『不安なので姿消さないで寝てください』
「……そんなに信用出来ない…?」
『初対面なので』
「じゃあ明日からは平気だな!」
『そういう問題じゃないです』












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。