第4話

帰り道
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2024/12/15 19:52 更新

来た道を戻る。
行きで出会った猫と烏は、既に居なくなっていた。



さっきの巫女さんのせいで、
帰り道がとても怖くなってしまった。
“会える” ? “厄介者” ?なんのことだ…?






『…あ…れ…?』



来た道を戻っているはずなのに、
なかなか森から出られない。
進んでも進んでも戻されている感覚。


『…はやく帰らないと』


少し走ってみる。
山道は危ないが、
そんなことを気にしてられる余裕はなかった。






『え』


走っていたら突然、横から化け物が出てきた。
大きいひとつの目を持ち、ギョロギョロさせている。
手足はあるようだが伸縮性があるようだ。
一定の形にとどまっていない。
大きさは…2、3メートルくらいだろうか。
少なからず見上げる高さ。


『や…やだ…なに…これ…』


走り出して逃げたいのに足が固まって動けない。
体が恐怖で震えている。
いつの間にか晴れやかだった天気も、
曇天のような暗さになってしまった。
これは多分時間が経ったからでは無い。
こいつにこの世界へ引きずり込まれたんだ。



『た、たす…け…』
「俺のビビらせてんじゃねえよ?」
『ぁ…?』


ザシュッと音とともに
目の前にいた化け物の体が横に真っ二つになった。
血が吹きでていて気持ち悪い。
恐怖で叫びそうになったがぐっと堪えた。


「…ったく。
 あなたちゃんに視られるのは
 俺が1番が良かったのにー
 邪魔しやがって」
『え…えっと…』
「怪我はない?」
『無い、です…』
「うん、本当に無さそうだね
 ごめんね、あいつにちょっかい出されちゃって
 もう殺したから大丈夫!」
『…』
「…そんな警戒しなくても大丈夫だってばー!
 俺は酷いことしないよ。
 あなたちゃんはちゃんと“挨拶”しに来てくれたし」
『挨拶…』
「挨拶したら神の御加護がーって言うでしょ?
 あれ。」
『え?』
「俺自身が護るよ!」
『えっと…ど、どういう…』
「んー…
 ま、難しいこと考えないでさ!
 さっきみたいなヤツから護る存在!」
『あ、ありがとうございます…?』
「ふっふーん!」
『あ、あの…』
「ん?」
『なんで、背中から羽生えてるんですか
 しかもなんか…全体的に…カラス…?』
「…すっごーい!!
 やっぱ俺見る目あるな〜!そうだよ!
 実際にはカラスじゃなくて天狗だけど!」


帰らなきゃ。
助けてくれたお礼を言って、とっとと帰ろう。
お腹も空いたし…
はっきり言って、
もうこの神社には…山には、いたくない。
早く帰りたい…




「じゃ、ほら、挨拶も済んだことだし」

目の前の天狗?さんは手を差し伸べてくる。
つ、繋げってこと…?

「帰るべ?家」
『1人で帰れます…』
「何言ってんの?
 俺はもうあなたちゃんに憑いてるから
 ずっと一緒だよ♡」
『は…?』

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