第20話

19話‹夏の夜の切なさ›
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2018/10/09 11:07
親戚たちが集まって、
やれ従姉妹のあやちゃんが結婚するだの、
叔父さんとこに3人目ができただの、
そんな話で持ちきり。


縁側で化学のプリントを眺めながら、

二宮先生に会いたいな、、、


なんて。
従兄弟のお兄ちゃん
なに、今年受験やったけか?
自分
違うけど……
従兄弟のお兄ちゃんがうちわをパタパタさせながら覗き込んでくる。
従兄弟のお兄ちゃん
ふうん・・・ね、彼氏できた?
よっこらせ、と横に座ると
風鈴の音がチリンと響く。
自分
できないけど…
従兄弟のお兄ちゃん
けど?
自分
なんでもない

大学生になった従兄弟のお兄ちゃんは、
私の初恋の人。


最近特に
男らしくなったと思う。




でも、




二宮先生の大人の色気を知ってしまった。



あの無意識に醸し出されている色気は、
白衣からも眼鏡からも、
煙草からも


いつも辛いくらい感じている。
従兄弟のお兄ちゃん
ちっちゃい頃は、俺と結婚するって泣きわめいて、ばーちゃんちから帰るの毎年大変だったのに、好きなやついんのか〜去年あたりに告っとけばよかったわ
なんて、へらへら笑う。


初めて従兄弟のお兄ちゃんの気持ちを知って、
でも、応えることができない苦しさも
感じていた。



ごめんね。




きっと1年前ならよくわからずにとはいえ、
応えられていたその気持ちに、
もう未練は全くなくて。



こんなにも人を好きになったのは初めてで、
そして目の前で

報われない気持ちの辛さを知った。




その夜、近くで開催される
花火大会を親戚みんなで見た。



これも毎年恒例なのだけど、
いつもと違うのがひとつ。



いつか、二宮先生と花火大会に行きたいな
いつか、二宮先生にこの花火を見せたいな






いつか、なんて








叶うことのない想いで胸がいっぱいで
目の前には綺麗な花火。






ドーンとお腹の底に鳴り響く音。



夏の夜は本当に切ない。


花火の散ったあとの静かさに
またチリンと
風鈴の音が聞こえた。

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