渚 side
教室に入って来て授業を止めた烏間先生は
開口一番、そう言い放った
教室の中を飛び交っていた話し声が、
ピタリと止まる
────「新しい生徒」
その一言で、落ち着いていた教室に
ざわざわと声が戻る
転校生でもなくて上のクラスから
落ちて来たわけでもない⋯⋯⋯
他にあり得る可能性なんてあるのかな?
流石に殺せんせーはその人のことを
知ってるみたい
多分顔合わせとかはしてないんだろうけど
って言うか朝のHRじゃないのに
タイミングが珍しいなって思ってたら
普通に遅刻だったんだ(
後ろからそんな声が聞こえて来て、
思わずカルマくんの方を振り向いた
最後列の席に座るカルマくんの目は
細められていて、いつもとちょっとだけ
表情が違う
やっぱり、
カルマくんは新しく入って来る人に
思い当たる節があるみたいだ
烏間先生はそう一言だけ返答して、
僅かな間を置いた
烏間先生のその言葉のタイミングに合わせて
教室に入って来たのは、一人の女子
あれが、休学中だった神凪さん⋯⋯⋯?
そもそも二年くらい休学していた
神凪さんが復学することなんて、
絶対に無いと思ってた
みんなの視線を浴びる神凪さんは、
ぺこりと会釈してから一言も喋らず
カルマくんの隣にある自分の席へ着いた
カルマくんの問い掛けに、神凪さんは
その時初めて口を開いた
その口から飛び出て来たのは、
思ったよりも軽い言葉
いや、気乗りしなくて休学ってなんだよ!
まぁ確かに神凪さんのことは
学校中で有名だから僕も知ってるけど
簡単に名乗ってからそう呟く神凪さん
いや、好きな食べ物とか特技とか
流石にもっとあるでしょ
て言うか、自分でも劣等生を認めてるって話
本当だったんだ
神凪さんは暫くう〜んと考え込んだ後、
ハッと思い出したかのように手を叩いた
僕は今の今まで予想していなかった
────このE組で殺せんせーの暗殺に
参加しない人が出てくるなんて⋯⋯⋯













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。