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第83話

記録77
464
2023/10/02 06:04





『最後』って言葉は、なんとなく




人を不思議な気持ちにさせる効果があると思う。




中原 治
中原 治
……





最後の体育祭、最後の物語、最後の人生。




まぁようするに、何でもぽくなるって話だ。




それが真実か嘘かは、その先しか知り得ないが。




中原 治
中原 治
ねぇ中也、二人で
最後のお出かけしない?
中原 中也
中原 中也
…は?





だから僕はわざと、君にこの言葉を使う。




真実か嘘か、この曖昧で嘘つきな言葉を。




中原 治
中原 治
(もし嘘なら、君とまだ一緒に
 いれるからそれでいい)
中原 治
中原 治
(でももし本当なら、これで終わり
 なのだから伝えておいた方がいい)





最後なんて言ったクセに、




意外と次があったりする事ってあるでしょ。




そんな可能性に、僕は少しだけ期待をしたんだ。




中原 治
中原 治
(…最後、だしね)





この言葉だって、真実かは分からないから。




中原 中也
中原 中也
治、そろそろ出るぞー?
中原 治
中原 治
はーい、今行くね





中也だってきっと分かってるハズだ。




治のこの言葉には、何か意味があると。




中原 治
中原 治
(だから、こうやって
 一緒に来てくれるんでしょ?)
中原 治
中原 治
(僕が何か言わなくたって、
 昔から君は理解してくれるから)





扉を開け、外に出る。




空は雲一つない澄み切った青だ。




中原 治
中原 治
何だか、君の目の色みたいだね
中原 中也
中原 中也
…こんな綺麗な色してるか?





そう言って不思議そうに空を眺める中也。




横から見える瞳は、やっぱり少し空とは違った。




中原 治
中原 治
(君の方が、よっぽど…)





浮かんだ言葉は、そっと心の奥に閉まっておいた。




やっぱり僕一人の宝物にしよう、なんて思いながら。




中原 治
中原 治
じゃ、しゅっぱーつ!
中原 中也
中原 中也
おう!





青空の元歩き出す二人の背中は、




静かに『家』と呼ばれた場所から遠ざかって行く。




中原 治
中原 治
(今まで、ありがとね)




















治と中也が、もうこの場所に




戻って来る事は無かった。















作者
作者
最終章、開幕
作者
作者
やっとここまで来ましたねぇ、
ずいぶん長くかかりましたw
作者
作者
二人の結末、物語の終わり、
どうぞ最後までお楽しみください!

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