第41話

戦和戦争
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2026/02/04 10:00 更新
牧師
–––––––この国では、戦和戦争というものが起こっていたのだよ
 神話の時代、アスペルとフェアルアが世界を作り…そして古代、人々の悪意を糧にして生まれた厄災を倒したのも、またアスペルとフェアルアであった。
 人々は、2人を勇者、そして神として崇め、祀り、そうして、「アスルア教」なるものができた。象徴は2人の剣と盾であった。

 しかし、宗教とトラブルは切っても切れないもの。ある時アスルア教は、アスペル派閥とフェアルア派閥に分かれてしまう…

 そして、それは戦争へと膨らんでしまうのだった。
牧師
戦いの神と平和の神…二つに分かれたんだ
 本当はそんなものじゃなかったのにね、と牧師さんは下を向いた。
牧師
戦火を逃れて、私たちの先祖は、迷いの森の中に都市を作り上げ、外界との交流を絶った…
牧師
けれど、勇者様は違ったようだね
ヴィアル
牧師
あの子…もう1人の勇者…君に救うことはできないかな。私には到底無理だろう
 すがるような瞳に、拳を握った。
 頷いて、俺は彼の目を見た。
ヴィアル
もちろんです
牧師
…さぁ、頼んだよ
 俺たちは教会を後にした。
 2人の勇者、フェアルア、戦和戦争…
 そして、フィラズも勇者の子孫…

 頭が追いつかない…ただ、一つわかるのは…
ヴィアル
フィラズも、正しかった…?
ロウ
ッ…
 隣を歩いていたロウが息を飲んだのが、はっきりとわかった。
ロウ
…私、間違ってた…フィラズは…
ヴィアル
俺だって変わらないさ…
ヴィアル
ただ…フィラズが“自分が勇者”という事実を知って逃げ出したのが…妙に引っかかる
 頭の中で、ぐるぐると出来事が周り、ありもしない仮説を組み立てては、崩れていく。

–––––––フィラズも、自分が勇者だとは知らなかった?
ヴィアル
ッ!俺、先いってくる!
 脇目も振らずかけだした。
ロウ
あー…ありゃ何か気づいちゃったな
–––––––真実へと歩みを進めるのは、誰か…
 あんなにデカい盾を持っていては目立つだろう。
 周りの人に話を聞けば、フィラズが宿へ向かったことは、すぐに分かった。
 ドアの前で、ノックをする。

 コンコン。

 小気味いい音が響いた。
フィラズ
 無言は肯定と受け取った俺は、ドアノブを回した。

 ドアは簡単に開いた。

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