〔 緑谷出久 Side 〕
この湿っぽい本題なんて、気にしなくて良いんだよ。
その前に、少し世界の前提を話そうか。
あの日、僕の目の前であなたさんはこう言った。
発端はふとした質問だった。先生の個性は何ですか。
それはプロヒーローで有りながら情報の出回っていない先生へ向けた何気ない問いのはずだったけど、哀しげに微笑んだ先生は、顔を歪めていたんだ。
人口の8割が何らかの個性を持つ、超人社会。
残りは殆どの " 無個性 " と、僅かな" 術師 " 。
個性は己の特徴を視覚化して、表面に反映させるもの。比較的新しく、誰1人同じ個性を持たない。
反対に呪力は視ることも操ることも殆どの人が出来ず、ルーツが古く伝統的で、世襲が当たり前なもの。
個性は大多数。大多数の人達に身近なものとして、優秀でスター性を持つヒーローに、多くの人が憧れる。
呪力は少数派。何故か一般人も呪霊を知っているこの社会で、数少ない術師はもてはやされる。
特権の掛け持ちは事実上、不可能だからこそ、強者としての矜持重んじる両者の均衡が保たれていた。
だけど、20年前。1人の忌み子がそれが崩した。
その女は辛うじて呪霊が見えるくらいの呪力しか持たず、何より個性を持っていた。
それは、術師の最優位勢力で有る御三家の者としては死活問題だったし、何よりその個性が問題だった。
呪霊を生み出す非術師の分際で、それを操り闘える。個性由来のくせに、呪力にも対抗できる。
保守派はイレギュラーを嫌う。当然、この型破りな人間を術師とも、彼女の技を術式とも呼ばなかった。
嬉しいよとにこやかに告げながらも、先生の声は不気味なほど、虚しい響きを伴っていた。
自嘲するような、救われない、どうしようもない境遇を呪うような、押さえ込んできた本音。
あの一言に、それらが確かに籠ってたんだ。
_____ ダメだよ。私なんかに憧れちゃ。
先生の言った " 本題 " が何なのか、僕は知らない。
職員室でのその会話から、3日も経たずに。
五条あなたは、ヒーローアカデミアから離反した。
幼子で有りながら口調も価値観もしっかり禪院な夢主ちゃんなのに真希ちゃん大好きなのが可愛い … 直哉くんとの掛け合い好きすぎますぜひ♡ちなみにこの小説は暫く禪院の皆さんは出てこないかな …











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!