ママもパパも、初っ端から私に術師としての興味なんて無かったんだと思う。
だってその頃はもう、お兄ちゃんがどれほど稀有で尊い存在で有るのかを誰もが知っていたから。
この世の人類の中で最も脅威なことは周知の事実で、それだけでこの家はもう安泰で。
きっと呪力量も術式の有無も、それほど問題じゃなかったんだろう。何故なら、五条悟がもう居たから。
訳 : なら、さっさと部屋から出てくれない?
訳 : じゃあ自分から辞めろよこんな仕事。
訳 : お前が直接当主に言えば良いじゃん。
こんな調子なものだから、7つになる頃には、私の評価はとうに最低街道をまっしぐらだった。
真正面から喧嘩を売るような、最強だからこそ許されていた兄の肥大な態度が似てしまった、傲慢な少女。
そんな噂が常に飛び交い、私の冷淡で見下すような視線を敬遠される中、両親は何もしなかった。
説教を垂れることも、咎めることも、口を挟むことも無く。 … 私を気にする素振りさえ、見せずにいて。
" 好き " の反対は無関心。" 期待 " の反対も無関心。
優秀な兄が居るのなら、妹に価値など無い。たとえどれほど才能があったとしても。… 不出来なら、尚更。
育児放棄といえば仰々しいかもしれないが、そもそも仮にも御三家の当主であるはずの父親が正妻と兄と9歳離れた子供を作ったこと自体が闇深い。
それで言うなら禪院の方がよっぽど目に余るのかもしれないが、前提として背景に御三家の腐敗が有る。
あの日、お兄ちゃんはこう言ったけど、私はその意味を理解できなかった。そして、今も。
呪力量、術師としての才能、体術、精神力。
どれをとってもお兄ちゃんには及ばない。この先も、きっと私はこの差を覆せない。… それが全てだ。
少なくともこの家はそうなのに、お兄ちゃんは何で。
その返答に、お兄ちゃんは何も言わなかった。
それを、他の何よりはっきり覚えてる。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。