渡辺と飯食ってから数日、毎日頭の片隅にいる深澤くんをどうにかしたい。
あいつのせいでなんかずっと深澤くんのこと考えてんだけど、まじでなんでほんとに
なんでかわかんねーけど深澤くんの出てる番組録画してたし、普通に見ちゃってるし
……別にあいつに言われたから意識してるとかじゃねーけど、なんか気になんだよな
なんで俺なんだろ、だって全然絡みないしなんで?シンプルに顔?まあやっぱ、わかる人にはわかる顔してるもんな、俺
そんなこと考えながらテレビ局を歩いていると目の前からカラフルな繋ぎを着た高身長たちが歩いてきた
あんなカラフルな奴らどう考えたってSnowManしかいねえ
このタイミングで深澤くんと会うことになるの気まづいんだけど……
でも向こうは俺が知ってることすら知らないだろうし、俺も知らないフリして平然装えばすれ違うのんて一瞬だしどうって事ないだろ
そう思いながら真顔で横をすれ違おうとした。
したのに、青色とピンクが話しかけてきやがった
必然と止まる9人の進む足。俺も足を止め全力で渡辺を睨んだ。何かを思い出したように深澤くんと俺の顔を目だけで往復する渡辺に1発食らわせてやろうかと思った
……こいつ、まじふざけてんなおい
渡辺の首根っこ引っ張ってSnowManから少し離れて顔を近づけた。なるべく聞かれたくない話だからな
どうやらあの後色々問いつめたところ特にそれといったいい返事はなくこの前みたいに赤面になることもなかったらしい。
……んだよ、渡辺の勘違いかよ
え、俺今なんかテンション下がってんじゃん。なんで?深澤くんが別に俺のこと好きじゃなかったから?え?なんでそれだけでテンション下がってんの?渡辺が変な事言うからだろ
……なんかあのニヤついた顔怪しいな
けど特に何もなさそうだったから軽いアンケートだけ楽屋で答えて帰る準備をして渡辺に言われた通り駐車場に行った。
……したら、そしたら
いるはずの渡辺がいなくて代わりに深澤くんがいるっていう謎の状況。渡辺に連絡しようとトーク画面を開けば「うい、がんば」とメッセージが来ていた……やっぱあのニヤニヤ怪しかったのかよ、くそ
マジで初手から二人きりとか意味わかんねえ。あいつマジでふざけてんな、今すぐ締めに行きたいとこだけど深澤くん置いてけないし……あぁもう!
とりあえず店探して落ち着かねえと、俺変なこと口走りそうで怖いわ
……でも確かに今話してる感じ遠慮してる感じとか照れてる感じとかもなく至ってよく見る深澤くんって感じだな
ほんとにあいつただの勘違いで俺の脳内支配しやがって……大体ホーム画面にしてるからって100%好きって訳じゃねーだろうが
何となく雰囲気で選んだりとかするだろ…あー、マジだりぃ
無駄に今モヤモヤしてんのがいちばん意味わかんないって、はぁ
え?なに?何俺落ち込んでんの?深澤くんの態度がいつも通りだからってなんで落ち込むんだよ
……言わねえよ?何となく思ったって俺は絶対言わねえからな?認めねえよ?
とりあえずタクシーで目的の店に行ってみた。時間もちょっと遅めだから普通に席も空いてて当たり前にテーブルに通された俺たち。
……カウンターが良かったー
いや、でも隣のがなんか緊張することあるしな
まじでこれからなんの話すりゃあいいんだよ
……あれ?もしかしてこれ、好きじゃない通り越して俺に興味すら持ってなくね?こんな冷たい人か?こんなすぐ会話終わる人か?そもそも俺と話しててすぐ話が終わること自体珍しいんだよな。緊張とかで全然言葉が出てこねえ……まじで、一旦落ち着け
……会話が!続かねえ!
もうどうする?ここはもうこれをあえて話の種にしてみる?意外と膨らむかもしれないし、何よりもう沈黙が限界すぎる
……すぅー
……なんかこの人見てても思うけど、話してるとよりふわふわしてるって言うか、なんかこの人の背景がふわふわしてんだよな背景がぼやけてるって言うか、なんて言うか、まるーい感じで優しい色してて
この人の人柄が、そんなんなんだろうな
控えめな笑い方とかもふわふわしてて可愛いし
びっくりした…思わず声出ちゃった
俺今可愛いって言った?男の先輩のこと、可愛いって言った?いや、だいいち俺は年上好きだけど性別は女に限られてくるしシンプルに人間として雰囲気が可愛かったとか、恋愛的な意味では無いとはわかってんだけど、でも先輩相手に可愛いはないだろ……
なんか俺、本格的にやばくなってきてんな
……きゅん
やばい、不覚にもキュンとしちゃった。こんなふわふわな笑顔で言われたら誰でもキュンときますって
俺って可愛いの部類の顔なのか、なんか今まで可愛いとか言われるの嫌だったけど深澤くんに言われて嫌な気しなかったな
……これってなんで?












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。