とあるドッキリ番組の収録後、予定があった俺は送迎車には乗らずタクシーでその場所まで向かった。
先に店に来ていたそいつに手を振られ俺も振り返した。
俺の言葉を聞いた渡辺は店員を呼ぶために声を上げた。
久しぶりに会った渡辺に話したい話は沢山あった。それは向こうも同じだったようで「そういえば」という声が被った。
プライベートで1度も遊んだことのない人の名前を聞き俺の脳内は理解に苦しんだ
ん?なんで今その話?
そういったところで渡辺の口が止まった。重要なところで止まった渡辺にモヤモヤが止まらない俺は渡辺の代わりに声を上げた。
大して仲良くもない先輩が俺の写真をホーム画面にしているという謎の行動にポカーンとする俺。
え?なんで!?なんで俺の写真なんだよ
そう言って俺に見せてきたのは俺がSNSに投稿していた1枚の写真。俺が道端でアイスを食べてこっちを見ていた。
俺と目を合わせながら大きく唾を飲み込んだ渡辺が口にした言葉、それが頭の中をぐるぐる回って離れない
申し訳ないけど俺には男と付き合う趣味は無い。もし、もし仮に深澤くんが俺のことが好きだったとして……そんなことないと思うけど、そうだとしても
俺はどう返事したらいいんだ?いや、断るけど、関係を悪くしない断り方って?
いや、でもまず男が好きな人が、てかアイドルが告白なんてするはずないよな
俺浮かれてんのか?好きらしいって聞いて、嬉しいのか?いや、嬉しくねえって、気まづいって、今後共演した時の対応に困るって
……えー、まじで言ってんの?
飯来たことにも気づかないとか……
一旦このこと忘れよ、うん聞かなかったことに
やってきた肉を焼きながら米の片手にスタンバイ。いつでも食べられるようにいい所を見極めて網から肉を剥がし米の上にバウンドさせた。
その後も肉と米の無限ループを楽しんでいたら渡辺が再び口を開いた。
忘れかけていた話を甦させられ再びその話で脳内が支配された。
……なんか肉の味変わった気がする
笑いながら無責任にそう言った渡辺のことを絞めてやろうかと思ったけどやめた。ここは飯を楽しむとこだしな
前言撤回、締めはしないけど渡辺の足を思いっきり蹴ってやった。
……はぁ、なんか気が重い
*******












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。